マンション建築の欠陥裁判〜一級建築士の指摘と瑕疵・賠償・意見書作成〜|建築裁判・不動産裁判
弁護士の友人から、建築に関する裁判の相談を受け、コンサルティングとして意見書を作成しました。
相手方の設計図書・プロセス等において、様々な問題点を多数発見しました。
中でも、明確な建築基準法を発見し、
「これは、建築基準法に完全に抵触する。
法律は分かっていても、建築に関して素人の裁判官・・・
その裁判官にも
よく分かるように、具体的に意見書を作成しよう!」
張り切って、友人のために意見書を頑張って作成しました。
裁判の訴状などを読むのは、初めての経験でした。
そして、裁判に関する「意見書を作成する」経験もまた初めてのことでした。
友人の弁護士から色々と法律的アドバイスをいただきながら、なんとか意見書が完成しました。
「先日の意見書を提出して、
期日に裁判所で弁論したよ!」
と友人から電話ありました。
「僕の意見書、どうだった?」
と聞きます。
相手方に大きな打撃を与えることが予想される内容を、しっかりと書き込んだ意見書でした。
「裁判官は
どのような反応だった?」
友人の弁護士は
「意見書の内容は、よく理解してくれたよ!
非常にわかりやすい書き方をしてくれたおかげだ!」
嬉しい反応です。
「具体的に、
相手方の賠償要求額削減に大きな影響もちそう?」
と彼に尋ねました。
「裁判官がよく理解した」ということは、具体的な「賠償要求額削減」につながりそうです。
少しワクワクしながら、話を聞いていた僕。
友人は
「いや、まあ、
それがな・・・」
ここでトーンが急速に下がりました。
「裁判では、
「よくあること」なんだが・・・
裁判官は「法律違反と
賠償額は別」というスタンスなんだ・・・」
「えっ!なんで?」
唐突な展開に大いに驚きました。
どうやら、裁判の世界は独特のようです。
初めて裁判に「プロの専門家」として、具体的に関わった僕。
訴状や準備書面を読んでみると、とにかく「〜円を賠償額として要求する」ことの主張と反論の応酬です。
「相手が悪い」ことを主張する裁判。
具体的な要求としては、金銭となることが多いのが現実です。
そこで、建築基準法違反を「建築のプロ」として指摘した僕。
友人の弁護士は
「裁判官は『法律違反は問題。
だが、かかった費用は別』というスタンスなんだ・・・」
「そうなんだ・・・」
これは、非常に大きな驚きであると同時に新鮮なことでした。
このことは、弁護士・裁判官など「裁判に関わる方々」にとっては、
「裁判というのは、そういうものだよ・・・
法律違反も問題だが、
そもそもの裁判の元の訴状の主張が最重要!」
かもしれません。
一方で、日々建築基準法・消防法・建築士法などの法律を遵守している立場からすると、
「法律違反を
したら『終わり』なのでは?」
とも思います。
私たち建築士が、「建築士としての職責からずれた行為」をおこなったら処罰が下ります。
2005年に発生した「耐震偽装事件」では、犯罪を主導した一級建築士の免許取消となりました。
「法律の総本山である裁判所で、
『法律違反は別』というのはおかしくないのか?」
と思います。
弁護士との友人との話がつづきます。
「『法律違反をしていても、
賠償額は請求できる』ということ?」
「ま、そうなんだ。」
驚きです。
「ということは、僕の意見書は
『あまり有効ではなかった』ということ?」
こう言う僕に対して、
「いやいや、
あの意見書のお陰で、論点がすごくクリアになった!
意見書のお陰で、
相手方の何が具体的に問題か、が明確になった!」
「それは良かった!
でも、賠償請求額の
縮減には直結しない、ということ?」
ここで、友人は少しこまったように、
「まあ、そうなんだよ。
僕も裁判官に強く
『法律違反』を主張したんだが、
『法律違反』を明確に認めるのは、裁判の決定権者である
裁判官にとっては、非常にハードルが高いことなんだ・・・」
確かに「法律違反を正式に認める」のは「法律専門家」としては大変なことかもしれません。
一方で、「法で裁く総本山」である裁判所で、「法律違反が大して影響しない」現実。
ちょっと納得がいきません。
「まあ、とにかく意見書は
とても役立だったし、また、別の
件でも力になってくれ!」
と言う友人に対して、
「もちろん。気軽に相談して!」と
答えた僕でした。
裁判という「特殊な世界」を垣間見た気がしました。
株式会社YDS建築研究所
東京都千代田区神田三崎町2-20-7 水道橋西口会館6F
TEL:03-6272-5572
NEW
-
2025.04.25
-
2025.04.22都内たい焼きや「御三...こんにちは。 今回は、東京の有名な鯛焼き屋さ...
-
2025.04.21オススメレジャー施設...こんにちは。 今回は、レジャー施設のご紹介で...
-
2025.04.18かつては愛知県(尾張...最近、名古屋周辺では大きな再開発工事が行われて...
-
2025.04.16「不自然な工程表」と...筆者は一級建築士として、建築設計を含む様々な業...
-
2025.04.14栃木県那須のオススメ...こんにちは。 今回は、栃木県那須にあるおすす...
-
2025.04.09「それぞれの春」の芽...こんにちは、みなさんお花見は行かれましたか。 ...
-
2025.04.07デザインプロセスを表...海辺の計画地において、周辺の広場などと共に計画...
CATEGORY
ARCHIVE
- 2025/049
- 2025/039
- 2025/0210
- 2025/016
- 2024/126
- 2024/117
- 2024/106
- 2024/0912
- 2024/088
- 2024/079
- 2024/066
- 2024/0511
- 2024/0413
- 2024/0311
- 2024/025
- 2024/0112
- 2023/1213
- 2023/117
- 2023/1011
- 2023/0915
- 2023/088
- 2023/0712
- 2023/0611
- 2023/0512
- 2023/0427
- 2023/0322
- 2023/0210
- 2023/018
- 2022/1210
- 2022/1117
- 2022/1027
- 2022/0927
- 2022/0824
- 2022/0722
- 2022/0622
- 2022/0527
- 2022/0430
- 2022/0332
- 2022/0236
- 2022/019
- 2021/122
- 2021/111
- 2021/101
- 2021/091
- 2021/081
- 2021/071
- 2021/061
- 2021/051
- 2021/041
- 2021/031
- 2021/021
- 2021/013
- 2020/105
- 2020/065
- 2020/051
- 2020/026
- 2020/014
- 2019/121