建築・不動産のコンサルティング:建築裁判 4〜建築基準法と賠償額の査定・紛争・トラブル〜|建築裁判・不動産裁判
弁護士の友人からの相談で始まったコンサルティング。
建築裁判に関する意見書を、「建築のプロの視点」から書くことになりました。
過去の裁判の判例を僕が調べることは難しいです。
そのあたりは弁護士自身にお任せし、何はともあれ、
「書類・設計図書からわかる問題点」
をしっかりと書くことにします。
「法律的根拠をしっかり書くようにしよう。」
と心がけます。
建築設計の実務では、「建築確認」というプロセスがあります。
これは事実上「建築許可」であり、この「建築確認」が完了していないと着工できません。
この「建築確認」という言葉は、「建築や条例等諸法規に照らし合わせて、適合していることを確認した」という意味です。
海外では、分かりやすく「建築許可」となっていることが多いと聞きます。
この「建築確認」という曖昧な言葉と曖昧な制度。
いかにも日本的なのかも知れません。
早速、もう一度たくさんの設計図書や資料を読み込んで、意見書の作成に取り掛かります。
個人邸の設計の場合でも、設計図書は数十枚になります。
集合住宅(マンション)・幼稚園等の規模になると、構造設計図書・設備設計図書も詳細になります。
すると、設計図書は百枚を大きく超える枚数になります。
さらに工事中には「施工図」という、僕たちが描く設計図書以外の膨大な施工関係の図面が上がってきます。
現場のコンクリートなどの躯体図・設備図面・サッシュや家具の詳細図面などをチェックする必要があります。
多くの場合、A1~A2サイズとなることもあり、「図面を描く」だけなく「図面を読む」のもだいぶ慣れます。
それでも、裁判となると非常に膨大な量の書類があり、「途中経過」の設計図書も多数あります。
「読むだけで、大変だ・・・」と感じます。
法規はある程度は頭に入っていますが、裁判である以上、法令集片手にしっかり調べます。
すると、どんどん「不自然な点」や
「明らかに法律違反の点」
が明確に出てきました。
裁判ではこういう建築的・建築法規関係の問題点を顧慮されることなく、「金額の査定」の話が続いていたようです。
設計図書や各資料を読み込んで、全体像が見えてきました。
そして、「問題点」が「金額査定」につながるように、文章を構成してゆきます。
建築関係の裁判も多数あるようなので、それらの判例に対しても有意になるように配慮します。
非常に不思議だったのは、これらの法律に関する査定が大してされていないことです。
建築に関する裁判は、
「まずは法律に適合しているのか」をチェックすると思っていました。
実際はそうではなく、法律論が棚上げにされ、金額の話に終始した書面が多いのが非常に不思議に感じます。
これまでの様々な設計・監理の経験を活かして、意見書作成を進めてゆきました。
株式会社YDS建築研究所
東京都千代田区神田三崎町2-20-7 水道橋西口会館6F
TEL:03-6272-5572
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