クリニック増築設計・計画:設計プロセス 3〜消防署との折衝・新築と増築・危険物と建築〜|東京の建築設計
H医師の「発電機のための軽油地下タンク」をつくるご要望を受け、まずは消防署へ。
「地下タンクを計画中ですが、
「少量危険物」に関して、協議お願いします。」
「どのくらいの
規模ですか?」
「4,500Lです。」
「1,000L超えたら
「少量」ではなく、「危険物」です。」
「本署で協議してください。」
最初は地域の出張所で協議を試みましたが、規模が大きいため、「本署扱い」となりました。
本署へ向かいます。
「4,500Lの地下タンクを計画中ですが、
「危険物」に関して、協議お願いします。」
「計画地はどちらですか。」
消防署の方から尋ねられ、
「H駅前の
ビルの一角です。」
「駅前のビルに地下タンク?」
消防署の方に驚かれ、怪訝な顔をされました。
「駅前の商業地に
地下タンクを新たにつくるの?」
「建主の要望です。」
「なんのために?」と消防署の方が尋ねます。
「建主が医師で、
緊急時の発電機用です。」
「なるほど・・・」
「気持ちはわかる」という感じです。
「まあ、
しかしねえ・・・」
「商業地に
地下タンクなんて、聞いたことないよ。」
なんだか「不穏な雰囲気」です。
「これは
消防署としては、許可できないよ。」
なんと「不許可」が言い渡されてしまいました。
こうなっては、困るので僕も一生懸命説明します。
「クリニックの
緊急時の発電機用は社会的にも大事かと。」
「だからね・・・
気持ちはわかるよ。」
「軽油の地下タンクって、
どういうものか分かる?」
正直なところ、「分かっているかどうか」は確信は持てませんが、イメージはできます。
ここで、「分かりません・・・」
とは言えませんので、
「初めての経験ですが、
なんとか建主の希望は、叶えたいと考えます。」
と答えます。
「危険だよ。」
と、消防署の方に言われました。
軽油タンクが「危険である」ことくらいは分かりますが、
「なんとか
ならないでしょうか。」
「まあ、
計画次第なのかな・・・」
そう言った担当者は、奥に行って、他の方と相談しています。
戻ってきた署の担当者は、
「やっぱり「地下タンク」は
絶対に認められない!」
はっきり言われてしまいました。
こうなっては、「協議のしようがない」のでやむを得ません。
確かに、「駅前の商業地に軽油地下タンク」は危険そうです。
引火したら、大変なことになりそうです。
「では、軽油発電機
設置の計画をご相談したいと思います。」
「これも
認められない!」
なんと「発電機設置」計画自体が否定されてしまいました。
「あのね、
発電機だって、結構な軽油が入っているでしょう。」
「例えば、60Lの軽油だって
かなり危険なんだよ。」
消防署の方に諭されてしまいます。
軽油は僕は身近ではないですが、「60Lのガソリン」ならイメージできます。
大体「自動車1台のタンクに詰まっている量」が60Lという量です。
「そこをなんとか
前向きに考えて頂きたい。」
一生懸命粘ります。
H医師が「東日本大震災のような大震災への懸念」を口にしていたことを思い出して、
「東京で、東日本大震災のような
大震災が起こる可能性があります。」
「その際に、この医師のように
クリニックに備え付ける「発電機」は非常に価値があるでしょう。」
「「地域に貢献したい」という
思いを汲んで欲しい。」
僕も一生懸命説明すると、
「うん・・・・・
まあ、計画次第で、これは認めよう。」
これで、なんとか「H医師の思い」を形にできる「ほんの僅かな希望」が持てました。
次回はこちらです。
株式会社YDS建築研究所
東京都千代田区神田三崎町2-20-7 水道橋西口会館6F
TEL:03-6272-5572
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