クリニック増築設計・計画:設計プロセス 2〜消防署との協議・消防法と建築設計・軽油発電機〜|東京の建築設計

query_builder 2023/04/06
施設設計プロセス
YDS

クリニックの増築を考えているH医師。

そして、大震災で大規模停電が発生した時、患者のために

「停電でも大丈夫なように、
発電機を設置しよう。」

と考え、

「軽油で発電するのだから、
軽油をたくさん貯蔵しておきたい。」

と考えているようです。


もっともな理屈ですが、「軽油」のような危険物を設置するのは、建築設計者としては

「易々とOKには
ならないだろう・・・」

と内心考えます。

さらにH先生は、

「地下に軽油貯蔵タンクを
建築したいんだけど。」

と話を始め、

「実は地下タンクを作る
工事業者とも相談している。」

ということです。

非常に気の早い話です。

YDS

「地下タンクの図面と
見積もりも出てきているんだ。

これを見て欲しい。」

「拝見します。」と図面と見積書を見ます。

「空き地にも色々とタンクがあるでしょ。

あれと同じ感じで
地下にタンクを作りたい。」

というご要望です。

確かに、比較的大きなオフィスビルやマンションの近くには、タンクやボックスがあることが多いです。

昔のマンションには、受水槽という水を溜めておくタンクが設置されていました。

受水槽は、最近のマンションではポンプを使用する為、ほとんどありません。

YDS

H医師のクリニックのあるビルの敷地内にも、いくつかタンクなどがあります。

これは、このビルが古い為、受水槽などのタンクであると考えられます。

また、電気室の代わりとなる配電盤などもあります。

これらの都市のインフラとして常備されている水・電気と、軽油・石油は大きく異なります。

H先生が工事業者と相談している地下軽油タンクの図面を見ます。

軽油タンクの図面は初めてです。

内心「ガソリンスタンド
みたいだな。」と感じながら、図面を見ます。

「この地下タンクには、
4,500リットルの軽油が貯蔵できる。」とH医師。

「4,500リットルですか。」と僕。

小学校などの25mプールの容量は、約54万リットルです。

YDS

それに比べれば、4,500/540,000なので1%にも満たない量です。

「プールの水量」よりは遥かに少ない量ですが、相手が軽油となると、大事なような気がします。

マンションやオフィスビルなどの申請は経験があるので、大体消防署の基準は頭に入っています。

「軽油の基準」は初めてなので、全く知識がありません。

しかも、H医師のクリニックビルは駅前の商業地の一角です。

「商業地の一角に軽油地下タンクをつくる」のは、簡単に許可が降りない気がします。


「承知しました。所轄消防署と
協議をして、ご報告します。」

と応じます。

H医師は

「早く作りたいから、
頼んだよ。」と言います。

「なかなか難しい面も
あると思いますが、出来るだけ頑張ります。」

まずは会社に戻って、消防法を調べて検討します。

YDS

「軽油は『少量危険物』の申請に なるのかな。」

色々と調べますが、

「なにはともあれ、
所轄消防署の予防課と協議だ。」

と考えました。

消防署との協議は「消防法が基本」ですが、「消防署の判断による」部分が非常に多いです。

マンションにおける細かな基準等においても、A消防署ではOKでも、B消防署ではNGということもあります。

そこで、所轄消防署の予防課に連絡を取り、早速対面での打ち合わせに向かいました。

次回はこちらです。

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