裁判で法律違反は「どこまで許されるのか?」〜損害賠償と建築基準法違反〜|異常な法曹の世界4

query_builder 2025/12/03
コンサルティング
YDS

筆者は、これまでに多数の建築裁判のコンサルティングを行ってきました。

建築裁判では、ほとんどの場合が「損害賠償裁判」となります。

建物の瑕疵に問題がある場合は、少し異なりますが、多くの場合は「金銭を求めて提訴」となります。

損害賠償請求における重要なポイント

・原告が主張する因果関係・ストーリー

・損害額の根拠となる書証:工事請負契約書や工事見積書


ここで、裁判においては、提訴する側も提訴された側も代理人弁護士が登場しますが、

「X建設に建築を依頼したが、
きちんと工事してくれなかった・・・」

建設に対する、「原告の思い」が「裁判の根幹」であることは当然です。

「Y建設に建築を依頼したが、
工事中に増加した金額が納得いかない・・・

「工事のトラブル」や「金銭のトラブル」など様々ですが、「これらの思い」を、

「X建設に対して、不満があるから
〜円くらい、払って欲しい!」

このように、そのまま裁判官に「支払って欲しい」という思いを伝えたところで、通らないのが裁判の世界です。

裁判官の視点では、

「お気持ちは
分からなくはないですが・・・

それで、何が根拠ですか?

根拠を書面で
提出して、書面で主張してください。」

このように、裁判官は「全て書面ベース」で裁判を進行させます。

そして、訴訟を提起する際には、「このくらいの金額が欲しい」ではダメで、

「提訴して、損害賠償を
求める金額の根拠を全て書面で提出してください!」

明確な金額の根拠が全て書面で求められるのが裁判の現場です。

この「全て書面で求められる」ことは、裁判官・弁護士などの法曹界の方なら「常識」かもしれません。

その一方で、「全ては書面で」であり「何事も書面で」が裁判です。

この傾向は、先進国の裁判所では、どこでも同じかもしれません。

その一方で、「全ては書面で」には違和感を感じます。

YDS

そして、損害賠償請求事件では、原告代理人と被告代理人が、書面で戦い続けます。

かつて、ある建築物を建築した建主とゼネコンY社の損害賠償請求事件のコンサルティングを行いました。

当方の原告代理人弁護士は、以下のように主張しました。

「ゼネコンYは、建主の意向を
完全に無視した施工を進めた!

だから、建主はゼネコンYに
工事差し止めを求めた!

ゼネコンYが悪質であるのは
明らかだから、支払った代金を返金いただきたい。」


「建主の意向」にどこまで、設計者や施工者が応じるのかは、一概には言えません。

建主が設計を設計のプロである、建築士または建築家に依頼した場合は、「デザインはある程度任せる」べきです。

そして、ゼネコン・建設業者は、「建主の意向」を反映した設計図書に従って、粛々と建築を推進すべきです。

この事件では、明らかに「ゼネコンYが建主に意向に逆らった」事件でした。

そのため、時系列や証拠を見れば、「建主が正しいのは一目瞭然」ですが、裁判官は、

「原告、被告から提出された
書面をじっくり拝見しますね・・・

被告は「建主の意向」に
反してない、と主張していますが・・・」

そして、「明らかに悪い」はずのゼネコンは、一生懸命色々な書類を出して反撃してきます。

この事件では、ゼネコンが建築基準法に明確に違反していることが、書類から判明しました。

さらに、間抜けなことに、ゼネコン側である被告代理人から提出された証拠書類によって、違反が発覚しました。

建築基準法違反は、「法律の総本山」である裁判所では「最大限考慮されるべき」内容です。

このことを、建築基準法の条文を丁寧にまとめて、意見書として提出しましたが、裁判官は、

「建築基準法違反、ですか・・・

まあ、褒められたことでは
ありませんね・・・

ところで、その違反が
損害に結びつきましたか?」

このような姿勢で、「法律違反は重視しない」姿勢でした。

とにかく、裁判官は「結局、損害に結びついたか」を重視します。

この裁判では、他にも様々な反撃を行い、当方がコンサルティングをした原告側が「勝訴的和解」となりました。

結局、良い方向で終わりましたが、「建築基準法違反は関係ない」とする裁判官の視点は納得が行きません。

裁判官には、「法律違反は、あらゆる損害の原因の一つである」ことを認識して頂きたい。

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株式会社YDS建築研究所

東京都千代田区神田神保町三丁目2番地 高橋ビル4F

TEL:03-6272-5572


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