建設業法違反を容認する裁判官〜「正義の味方」ではない裁判所〜|異常な法曹の世界3
建築設計及び監理などを業務とする筆者は、10年ほど前から、建築に関するコンサルティングを行っています。
建築に関するコンサルティングには、地区計画などの設計に関するコンサルティングなどもあります。
ここ数年で多くなったのは、建築や不動産に関する訴訟やトラブルに関するコンサルティングです。
この「建築裁判のコンサルティング」を業務として請け負うまでは、裁判所とは無縁だった筆者。
裁判所という存在や、世の中で話題の裁判は知っていましたが、実際に裁判に関わった経験は一切ありませんでした。
これは、世の中のほとんどの人も同様と考えます。
「裁判に直接関わる」ということは、何らかのトラブルの加害者か被害者となることが前提です。
そのためほとんどの人は、「裁判所に行く」経験がないのが実情です。
建築コンサルティングでは、裁判の傍聴を要請されることもあり、その場合は裁判所に向かいます。
「ここが、
東京地方裁判所か・・・」
初めて東京地裁(地方裁判所)を訪問した際には、少なからず緊張しました。
エントランスでは、手荷物検査が必須であり、厳粛な雰囲気です。
裁判所というと、一般的な人は、
「裁判所って、
正義の味方でしょ?」
あるいは、
「XとYが争ったら、
きちんと正しい方に有利に判決してくれるはず!」
このように考える人が多く、筆者もかつてはそうでした。
ところが、裁判所や裁判官は、「正義の味方」では決してありません。
裁判官の立場からすれば、
「私たちは、
法に基づいて判断します。」
このような姿勢であり、裁判官たちは「とにかく法律による判断」が最優先です。
この裁判官が「法律による判断を最優先する」事実は、法曹界の人にとっては「当たり前」かもしれません。
確かに、よく考えると「当たり前」ですが、最初の頃は筆者は少なからず理解できませんでした。
例えば、建築トラブルにおいては、様々な資料を丁寧に紐解いてゆくと、大抵「法律違反の可能性」があります。
あるゼネコンXと建主が裁判になった際、設計図書や資料を全てチェックすると、
「これは、ほぼ間違いなく
建設業法違反だ!」
「ほぼ間違いなく」というよりも「間違いなく」建設業法違反の業務がありました。
そのことを、筆者が意見書などで裁判官に伝えました。
その結果の対応として、最も多いのは、
「確かに、建設業法違反は
褒められたことではありませんが・・・
実害はあったのでしょうか?」
このような対応が、一般的な裁判官の姿勢です。
裁判の際には、何らかの問題点を具体的に提起する必要があります。
ただ「相手が悪い」では、裁判所は訴状を受け取ってくれません。
そのため、「テーマは何か?」を具体的にタイトルに示す必要があります。
この事件では、代理人弁護士が「債務不履行」として事件を提訴しました。
筆者の視点から考えると、法律違反こそが債務不履行の大きな原因ですが、
「これは債務不履行の
事件ですよね・・・
ならば、債務を不履行したこと事実、
それによる実害の立証が必要です。」
裁判官の姿勢は「実害の立証が肝要」です。
そのため、債務不履行の事実として、実害・損害を立証する必要があります。
当方が、丹念に様々な資料に指摘を加えて意見書にまとめて提出し、
「建設業法違反の業務プロセスこそが、
大きな問題です。」
このように主張しても、裁判官は、
「ですから、実害は
何なのでしょうか?」
このように「実害は何?」と繰り返し裁判官は主張する傾向があります。
その結果、「実害の判定なし」となると、
「実害がないならば、
建設業法違反の疑義がありますが・・・
債務不履行に該当するとまでは認められない。」
その結果、「実害がない」場合は、「債務不履行に該当するとまでは認められない。」となるケースが多いです。
この「〜に該当するとまでは認められない。」という言葉は、判決などで多用される言葉です。
そして、法律違反に対しては「疑義あり」としながら、「お咎めなし」となります。
「法律の総本山」である裁判所には、ぜひ、法律違反に対して強い姿勢を持って欲しい。
法律違反をする建設業者・ゼネコンは、建築基準法や建築士法を遵守する建築士の視点から見れば、「単なる犯罪者集団」です。
そして、法律違反をする建設業者・ゼネコンに対しては、私たちは追求を続けてゆき、適宜行政に報告してゆきたいと考えています。
それこそが、建築士としての「一つの役割」と考えます。
株式会社YDS建築研究所
東京都千代田区神田神保町三丁目2番地 高橋ビル4F
TEL:03-6272-5572
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