契約を超重視する裁判所〜建主を囲い込むゼネコン〜|異常な法曹の世界2

query_builder 2025/10/21
コンサルティング
YDS

世の中の裁判の中で、建築や建設、あるいは不動産に関する裁判は比較的多いです。

様々なプロセスの中で、建主の中には、

「X建設に建築を依頼したが、
金額が納得いかない・・・

納得できないものは
支払いたくない!」

こう考える人も出てきます。

多額の金銭が動く建設・建築の場では、「工事費がいくらになるのか?」でトラブルになることがあります。

ゼネコン側としては、

「建主の要望に
応じたら、増額になったのであり・・・

その金額にご納得頂けないのは大変困る・・・」

ゼネコン側としては、「建主や設計者の要望に応じた結果、増額になってしまった」時もあります。


このように「金額で揉める」と双方ギクシャクするので、

「少し増額になりましたが、
この金額で納得頂きたいのですが・・・」

手頃なところで、「契約にもっていく」ことをゼネコンは求めることが多いです。

増額になり、「支払い金額が増える」と誰しもあまり気持ちの良いものではありません。


そして、「支払い金額が増える」ことに難色を示すことが多い建主に対して、ゼネコンは、

「増額の理由は
この金額増減一覧表です!」

「請負金額増減一覧表」を作成するケースが多いです。

この「増減一覧表」には、どのような工事によって、どのように金額が増減したのかが記載されています。

そして、これらの「増減一覧表」においては、「減少」が少なく「増加」が多い傾向があります。


「一覧表」は確かに分かりやすく、ある意味で説得力があります。

「まあ、こうして一覧表にされると
分かりやすいけど・・・

だが、なぜ、こんなにも金額が上がるのだろう・・・」

「分かりやすい」一覧表を前にしても、建主としては「なかなか納得行かない」のは当然かもしれません。

YDS

ここでトラブルになるケースもありますが、

「納得できないが、
まあ仕方ないのか・・・」

多くの建主は、「納得できないものの契約」します。


予定していた工事費が「想定外に増加」してしまった場合、「仕方ない」となる傾向があります。

これが、「相見積もりして何社か相談中」であれば、

「やっぱりX社さんは
イマイチだから、他の会社が良い!」

このように「後戻り」出来ますが、ゼネコンは「早い段階で囲い込む」傾向があります。

善良で一生懸命なゼネコンもいる一方で、

「今、工事の具体的相談を
しているのは我が社だけ・・・

多少金額に納得できなくても、
契約書に押印せざるを得まい・・・」

このように考えている「心の良くない」ゼネコンが存在するのもまた現実です。



YDS

筆者は、これまでにこのような「請負代金のトラブル」の訴訟や調停に多数関わってきました。

多いのが、当初数社での相見積もりだったのが、一社になった後のトラブルです。

多くの場合、早い段階で「基本設計図書をもとに相見積もり」が行われます。

そして、「二社くらいに絞って、協議続行」のケースもありますが、「一社限定」もあります。

「ある程度設計案と
工事費が固まったので・・・

ここからは、我が社が
請負前提でお願いします!」

これは、ゼネコン側の理屈もよく分かります。

「工事を請け負えるのか、どうか」は早い段階で見定めないと、ずっと営業担当などが引っ張られるからです。

そのためにも、「早い段階で一社限定」となり、あとは「信頼関係で工事請負契約に進む」のが前提となります。

ところが、この「一社に囲い込んだ後」に大幅な増額となり、

「こんなはずでは
なかったのだが・・・」

こう感じる建主は、ずっと不信感を感じたまま着工・完成と迎えるケースがあります。

そして、その結果、係争や裁判に至るケースもあります。


裁判所・裁判官は、民法が基本であり、契約行為を極めて重視します。

裁判官は、

「契約した以上、
契約通りの支払いをすべきです!」

このように「契約が基本」というスタンスです。

確かに一般社会でも「契約は大事」ですが、裁判の場における「契約書の存在」は王様のように強いです。

その一方で、ゼネコンに問題があり建設業法違反や建築士法違反の疑義があっても、

「建設業法違反や
建築士法違反は関係ないですね!」

裁判官の基本姿勢は「関係ない」です。

その一方で、一般民衆の視線から見れば、契約に関する「民法」も建設業法などの法律も両方重要です。

確かに「民法が基本」は分かりますが、「建設の場」であれば、建設業法等も重視すべきです。

裁判所には、もう少し「業界の法律を重視する」姿勢が欲しいと考えます。

----------------------------------------------------------------------

株式会社YDS建築研究所

東京都千代田区神田神保町三丁目2番地 高橋ビル4F

TEL:03-6272-5572


----------------------------------------------------------------------

NEW

VIEW MORE

CATEGORY

ARCHIVE

TAG