普通借家契約と定期借家契約の大きな違い〜「追い出す側」が強い再開発案件〜|不動産契約の基本1

query_builder 2025/06/24
コンサルティング
YDS

建築設計業務と平行して、建築・不動産の紛争や裁判に関するコンサルティング業務も開始して10年以上が経過しました。

これまでに関わってきた、建築・不動産の紛争は小さいものも含めると、100ほどになります。

建築や不動産に関する紛争は、金額が高額になる傾向があり、多くの場合、損害賠償事件となります。 かつて、退去遅延に関する建築裁判のコンサルティング業務を行いました。


追加工事発注の因果関係

1.被告の行為によって、新たな別途(追加)工事が必要となった事実

→2.その別途(追加)工事を実際に行った事実

→3.その別途(追加)工事の費用を原告が支払った事実:損害


上のような流れで、被告側になったのは「退去を拒否した」会社で、筆者は被告側でした。

被告の代理人弁護士から、この事件の相談に関する相談を受けました。

「退去遅延」に関しては、原告側は「追い出す」必要があるので、その裁判があり、代人弁護士からは、

「退去遅延に関する裁判では、敗けました。

そして、裁判所による
強制執行によって、退去させられました・・・」

このように、退去に関しては、敗北した状況でした。

本件は、再開発案件であり、ある会社が「ビルの建て替え」をすることとは全く異なります。

再開発案件は、理事会などだけではなく、自治体も関わり、都市計画法に基づく手続きがなされます。


原告側代理人弁護士の主張は、

「都市計画法上の
手続きを経ているにも関わらず、

A社が退去を拒否しているのは、問題です!」

「法律上の手続きが為されている」ため、裁判官の判断は当然のことながら「法律側」となり、

裁判官の視点から見れば、

「確かに
その通りですね!」

このようになります。

再開発案件では、「賃貸側」が敗北することが多いのが実情です。

一般的な「ビルを建て直す」案件においては、追い出す側と追い出される側、それぞれに思いがあります。

それに対して、再開発案件においては、「退去を求める側」に利があります。

YDS

一般的な「ビルを建て直す」案件においては、テナントとビル側の賃貸契約内容が極めて重要です。

多くの場合、賃貸契約内容は「期限を限った」定期借家契約です。 定

期借家契約の期間は2年であることが多いですが、例えば「定期借家契約が3年」の場合は、

「3年ごとに契約更新だから、
その契約更新時には、退去の可能性もある・・・」

となります。

「契約更新ごと」に退去する可能性があることを、テナント側は認識する必要があります。

対して、普通借家契約では、「契約の期限がない」契約となります。

定期借家契約と異なり、普通借家契約では、テナント側が望めば、契約を延長出来る契約です。


普通借家契約と定期借家契約

普通借家契約:契約の期限がなく、借主(テナント)側が有利

定期借家契約:契約の期限があり、貸主側が有利


普通借家契約であれば、テナント側は、

「普通借家契約だから、
こちらが気に入れば、ずっといられる・・・」

となります。

このように、このように全く異なるのが、普通借家契約と定期借家契約です。

YDS

貸主側は「賃料収入を得る」ことが目的で貸しているので、不動産経営はビジネス的視点が強いです。

「定期借家にしたいが、
普通借家の方が入ってくれるかも・・・」


実態としては、定期借家の方が多いですが、貸主側にも様々な思惑が働きます。

借主側としては、「普通借家の方が望ましい」傾向があります。

対して、貸主側は、「定期借家の方が望ましい」傾向があります。

一方で、不動産経営は「借主がいなければ成り立たない」ので、その塩梅が重要です。

この「普通借家と定期借家の違い」は、不動産契約の基本中の基本とも言えます。

実際に「退去を求められる」時には、極めて大事になります。

特に、店舗や事務所などを経営する会社・法人にとっては、未来を左右します。

借主の方は、契約条項含め、不動産契約には注意を払い、仲介会社とよく協議することが望ましいです。

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株式会社YDS建築研究所

東京都千代田区神田三崎町2-20-7 水道橋西口会館6F

TEL:03-6272-5572


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