重視されるべき法律違反と裁判〜六法と建築関連法規〜|建築裁判と不動産裁判2

query_builder 2025/03/17
コンサルティング
YDS

建築裁判・不動産裁判に対して、建築の専門家として多数関わってきました。

筆者は一級建築士であるため「法律の門外漢」ですが、建築基準法、建設業法、建築士法等の建築関連法規があり、これらの法規を遵守しなければならない立場です。


これら建築関連法規には、消防法などもあり、建築基準法には建築基準法施行令もあります。

これら全てを「完全に」とまで行かなくても、「ある程度は理解して」仕事する必要があります。

一方で、弁護士の方々は、

「私は法律の専門家であり、建築基準法は知っているが、
内容はよく分からない」

建築に関わらない弁護士・裁判官などの法曹関係者の方々は、建築基準法等が分からないのが現実です。

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そのため、建築関連法規に精通している一級建築士は、「建築関連法規の専門家」となります。

そして、一級建築士が遵守しなければならない、これら建築関連法規は、重要であるべきですが、裁判官は、

「これは損害賠償事件だから、
建築関連法規の違反は無関係!」

という傾向があります。


原告または被告が建築関連法規に違反しても、損害賠償事件では、ほとんど影響がないことが多いです。

この「法律的論理」に対して、当初、筆者はどうしても理解し難いのが現実でした。

裁判において、最も重視されるのは「因果関係」です。

そして、裁判官の基本姿勢は、

「法律違反が、損害に
どんな因果関係があるのですか?

『因果関係がない』ならば、
本件には当然関係ありません!」

法律違反は因果関係に相当しないことが多いです。


そして、「因果関係がない」ならば、損害賠償事件とは「関係ない」という扱いになることが多いです。

建築裁判において損害賠償の対象は、建物の瑕疵、工事金額、設計または工事内容が多いです。

例えば、工事金額に関して、建主とゼネコンが争う場合、

「工事金額で揉めているのだから、
建築関連法規の正当性は関係なし!」

これが裁判官の基本姿勢であり、工事金額が対象の場合、裁判官は「設計・工事や契約の流れ」ばかりを議論の対象とする傾向があります。

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日本における地方裁判所

・本庁:全国50箇所

・支部:全国203箇所

・本庁と支部合計で253箇所


日本には、253箇所もの「裁判執行機関」があります。

例えば、東京ならば、霞ヶ関の東京地方裁判所と立川支部があります。

最初は、友人の弁護士の依頼で初めて建築裁判・不動産裁判のコンサルティングで、初めて「遠い存在」だった裁判所と関わりました。

代理人・依頼者の要請で、筆者も傍聴することがあり、初めて裁判所に行ったのは40歳頃です。


建築裁判・不動産裁判は、損害賠償事件であることが、ほとんどです。

この時、因果関係と契約などの民法に関する事項が、最も重視される傾向があります。

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日本における六法

・日本国憲法・民法・刑法・商法・民事訴訟法・刑事訴訟法

「六法全書」という書籍がありますが、上の六法が法治国家日本の根幹となります。

そして、建築基準法等の法律は行政法などに位置付けられます。

弁護士や裁判官は、司法試験に合格する必要がありますが、司法試験で問われるは六法が基本です。

行政法に関しても、司法試験で問われますが、中身は詳しく知らない人が多いです。


数え方にもよりますが、現在の日本では「1,800ほどの法律」が存在しています。

どんな法曹のプロであっても、「1,800の法律全てを理解」は困難であることは当然と考えます。

この時、裁判官の思考は「六法中心」となります。

そして、民事裁判において重視されるのは、当然、民法となります。 そのため、契約が特に重視される傾向があり、

「契約は
全ての基本!」

これが、裁判官の基本姿勢です。

東京地裁05m

「契約重視」のあまり、契約以外は「個別の因果関係」で論じられる傾向があります。

この「法律論理」で考えると、「建築基準法や建設業法
違反は関係ない」ことになります。

この「法律論理」は、法曹関係者の人にとっては当然であり、筆者も大体理解できました。

一方で、民間の一般人が従うべきが民法であることを考えるとき、法律違反は重視されるべきです。


一般人・民間人の論理で考えれば、「法律違反は絶対NG」です。

諸外国の裁判も似た面があるかもしれませんが、「法律の遵守」はもっと裁判で重視されるべきです。

法務省・裁判所には、「法律の遵守と法律違反への厳しい姿勢」を、是非再考して頂きたい。

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株式会社YDS建築研究所

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TEL:03-6272-5572


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