建築物と工業製品の建築・製造プロセスの大きな違い〜自動車製造メーカー作成管理の「自動車の設計図」〜|法律違反と建築裁判3

query_builder 2025/09/29
コンサルティング
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建築物は、電気機器や自動車のような工業製品とは大きく異なります。

建築物や工業製品などは、基本的にまずは設計図書が作成され、それに基づいて製作されます。

例えば、日本には、トヨタ・マツダなど様々な自動車メーカーがあります。

それぞれの自動車メーカーには、多数の一次下請・二次下請などが存在します。

場合によっては、五次下請・六次下請などがいることもあり、ピラミッドのようになっています。

それらの様々な会社が作り出したパーツを取りまとめて、メーカーは自社で最終品を製造します。


自動車メーカーがマツダならば、多くの業者の協力の賜物である製品=自動車は、マツダが責任持って販売します。

部材ごとのパーツの設計図書の作成や管理は、メーカーによって様々と思われますが、自動車全体の設計図は、自動車メーカー自身が作成し、管理しているでしょう。

そして、全てのパーツの設計図書は、別会社作成の場合も最終的に責任を持つメーカーが管理しています。

最も分業体制が整っている自動車と同様に、様々な工業製品も設計・製造されていると思われます。

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これに対して、原則として「一品もの」である建築物の設計・建築(製造)は大きく異なります。

原則として、設計者は建築士や建築家が行い、建築(製造)はビルダーが行います。

つまり、自動車などの工業製品と大きく異なるのが、「設計者と建築者(製造者)が違う」点です。

一般的に、建築設計者=「建築設計することが業務」と思われる傾向が強いと思われます。

その一方で、建築設計者には、設計業務と同等に重要な業務があり、それが監理業務です。


建築における建築設計者の役割

・設計:基本設計・実施設計など、設計を進めてゆき、設計図書を作成

・監理:設計図書通りに工事が進められているか、チェック・指示(変更等を含む)


建築設計者にとって、この設計と監理の業務が極めて重要です。

これらの設計と監理の業務の中で、膨大な設計図書や資料・記録を作成する必要があります。


設計・監理における書類・写真・記録など

・設計図書(基本設計図書及び実施設計図書)

・模型写真やイメージパース

・確認申請書(大型の場合は、開発許可申請書等)

・建築確認済証及び完了検査済証(受領書)

・条例などに対する申請書と許可証(受領書)

・工事中の記録写真

・工事見積書

・打ち合わせ議事録

・様々な素材などのサンプル

・様々なメーカーから取り寄せた資料


個人邸などの規模から、空港や施設など大規模な建築に至るまで、様々な建築の規模があります。

もちろん、規模が大きいほど多数の書類・記録が登場し、多数の人が関わります。

その一方で、比較的小規模である個人邸の規模でも、上記の資料や記録は大量になる傾向があります。

そして、「設計者と施工者(製造者)は別」であることが原則となります。

日本においては、設計者である建築士に対しては、建築士法が定められています。

そして、施工者であるゼネコン・工務店に対しては、建設業法が定められています。

上記のような、設計と施工のプロセスは、建築物がしっかりと作られるために全てが大事です。

ここで、建主にとっては、「建築物が設計図書通り作成される」のは「当然のこと」であり、巨額の費用がかかる建築は、大きなビジネスです。

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建築士や工事に関わるプロから見れば、「つくるプロセス」こそが重要です。

それに対して、発注者や建主から見れば、「支払う金額の対価が建築物」です。


建主の視点から考えれば、

「設計中に増額したり減額したり、工事費は変わった・・・

そして、工事中に、私たちの
要望や追加もあって、工事中には増額となった・・・

『最終的に、いくらになるのか』が
支払う側にとっては最重要!」

これが本音であり、当然のことです。


どんなビジネスであっても「結局いくらなのか?」が最重要です。

ここで、「設計者と施工者が別」である「本来の姿」であれば、工事費は厳格に管理される傾向があります。

それに対して、日本で多く認められている「設計者・施工者一体型」の場合は、「設計者が行う監理・管理」を自分自身で行うので、「自分自身が査定する金額」は、甘くなるのが当然です。


このように、「なんとなく曖昧」な日本的な雰囲気になると、工事費のトラブルにつながります。

実際、このような「曖昧な工事費管理」によって、建築裁判が行われるケースが多いです。

「言った・言わない」が多い工事費のトラブルの原因の一つが、この設計施工一体型にあります。

日本の建設業界は、この設計施工一体型に対して、もう少し厳格になるべきでしょう。

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TEL:03-6272-5572


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