欧米では禁止の「設計施工一体型」が生むトラブル〜地震にも強く美しい日本古来の木造建築〜|法律違反と建築裁判2
本来ならば、建築家・建築士=建築設計者と施工業者は別であるべき、建築工事の現場。
欧米、特にイタリアなどにおいては、早くから「建築家の職能」が社会で確立していました。
それに対して、我が国・日本では、江戸時代まで「建築家・建築士=建築設計者は不在」でした。
世界から様々な文化・文明を取り入れて、独自に育て上げてきた要素が強い日本の文化と文明。
「猿真似」と表現されることも多い日本の文化・文明において、建築は中国の影響が強い面があります。
その中、上の平等院鳳凰堂のような日本建築独自の美しさを持つ建築も多数生み出してきました。
「戦うための要塞」である城郭建築においても、日本建築独自の意匠・デザインです。
戦国期から築城された天守閣は、主として江戸期以降、美しい造形の天守閣が生まれました。
「現存十二天守」の一つである、姫路城は復元ではなく、古来からの日本の木造建築です。
欧米と異なり「超地震国」である日本において、現在でも「現役」の大規模木造の姫路城。
その優美な美しさも賛美されるべきですが、度重なる地震にも耐えているのが驚異的です。
日本と欧米の建築業界の認識
欧米:「設計者=建築家と施工者=ビルダーは別」という認識
日本:「設計者=建築家と施工者=ビルダーは同じでも良い」という認識
そして、日本では江戸時代末期まで、「大工が設計者を兼ねる」状況でした。
いわば、「設計・施工分離型」ではなく「設計・施工一体型」が前提でした。
欧米では、そもそも「発想自体がない」のが「設計・施工合体型」です。
欧米においては、大量に供給する分譲住宅のような場合は、「設計・施工一体型」です。
つまり、「小規模+大量供給」型のみ「設計・施工一体型」が認められているのが欧米です。
特に、一定規模以上の建物に対しては、「設計・施工分離型」が法律で定められている米国。
欧州や米国に良い点は沢山あり、我が国・日本にも良い点がたくさんあります。
このように、欧州や米国と日本を「一概に比較」は困難ですが、法律に対しては厳格なのが欧米です。
法律違反した場合、日本では「曖昧に済まされる」傾向がありますが、欧米ではバサッと処分される傾向があります。
ここで、建築工事の現場においては、設計者が施工者の工事をチェックする必要があります。
建築工事における監理と管理
・監理:設計者が工事が設計図書通り工事されているかをチェック
変更がある場合、「変更が反映されているか」のチェックを含む
・管理:主に施工業者が施工が円滑にゆくように、工程・スケジュールなどを管理
日本語では同じ「かんり」と発音する、監理と管理には、上のように大きな違いがあります。
この「監理と管理の違い」には、内容の違いも大きいですが、最大の違いは「誰がするのか?」です。
管理は、主に施工業者自身が「工事の運営のために」行う業務です。
それに対して、監理は、設計者が施工者に対して「工事が適切に行われているか」を判断する業務です。
多くの場合、「監理者は設計者と同一」ですが、「別であってもOK」です。
設計者も重要ですが監理者も重要であり、監理者は工事請負契約書に明記され、押印が必要です。
ここで、「監理者と施工者が同一」である場合は、「自分で自分をチェックする」ことになります。
この「自分で自分をチェックする」に対して、欧米の発想は、
「一定規模以上の建築で、
「監理者と施工者が同一」ってどういうこと?
意味があるの?」
このような姿勢です。
この「自分で自分を監理・チェック」が適正であるはずがなく、欧米では、一定規模以上の建築で「設計・施工一体型」禁止が法律化されており、これは「当然のこと」でしょう。
ところが、一定規模以上の建築において、「設計・施工一体型」OKの日本。
ここで、「設計・施工一体型」は、日本に特有の社会風潮も反映されています。
「設計と施工をまとめて任せる」と、安心的な風潮がある日本。
ここで、世の中では「設計・施工一体型」が生み出すトラブルが多数あります。
次回は、具体的な「設計・施工一体型」が引き起こす建築トラブルの話です。
株式会社YDS建築研究所
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TEL:03-6272-5572
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