建築基準法等の精査から効果的反訴へ〜損害賠償請求事件・被告側が苦戦の時の反撃〜
これまでに様々な建築裁判・建築訴訟に関わってきました。
ほとんどは損害賠償事件である建築裁判では、工事請負契約書の損害が非常に強いです。
契約後、発注者と受注者(施工者)がトラブルになることがあります。
これらトラブルは発注者側から見れば「受注者(施工者)が契約通りの施工をしなかった」あるいは「契約通りの施工かもしれないが、瑕疵がある」ということが多いです。
いわば「施工・工事が発注者側が全く満足できない」状況であることが多いです。
この場合、その状況を写真や現地を訪問して確認すると、ほとんどの場合で「客観的に見て、受注者(施工者)が悪い」のが明らかです。
一目見て「杜撰すぎる工事」であったり「あまりにも手を抜いた工事」であることが多いです。
そして、発注者側が支払いの一部を「契約違反」として「支払いを止める」事態に至ることがあります。
こうなると、受注者(施工者)は「契約通りの工事をしたから、残金を支払ってください」と訴訟を提起することが、ほとんどのケースです。
私たち建築士や一般の方の視点から見れば、「受注者(施工者)が悪い」ので「裁判になったら、発注者が勝つのが当然」と考えるのが普通の発想です。
私たちも、建築裁判に関わるまでは、このような発想でおりました。
ところが、建築裁判では「発注者が勝つのが当然ではない」です。
なぜならば、裁判官の視点から見れば「契約書が非常に重要」だからです。
民法においては、「契約書で双方合意した」事実があれば、「発注者が契約通りの金額を支払うのが当然」という考え方になります。
もちろん、裁判においては「瑕疵の状況」を被告(発注者)が行い、「瑕疵の事実確認と程度」を延々と裁判で論じることになります。
建築のプロである建築士ではなく、一般の方が見れば「明らかに杜撰な工事」であっても、その「杜撰の事実とその位置づけ」を判断するのが裁判官の役目です。
そのため、「杜撰である事実認定」と同時に「杜撰さを金額に換算するとどの程度が妥当か」を検討するために、法廷で論争されます。
この時、基本的には「被告(発注者)は残金を支払うべき」がスタートなので、被告は苦しい戦いとなります。
この状況で、私たちが被告(発注者)側からコンサルティングのご依頼を受けました。
非常に苦しい状況でしたが、証拠・書証として提出されていながら「精査されていない」設計図書等の念入りなチェックを行いました。
私たち設計図書や工事状況を精査した結果、原告(施工者)側に大きな問題を発見し、反訴することになりました。
一方的に「被告(発注者)が押されていた」状況から、「原告(施工者)の問題点を突き上げる」戦略により、被告(発注者)が納得する金額で和解に至りました。
設計図書や工事状況に関しては、早期に経験豊富な一級建築士に相談することを強くお勧めします。
株式会社YDS建築研究所
東京都千代田区神田三崎町2-20-7 水道橋西口会館6F
TEL:03-6272-5572
NEW
-
2025.02.17
-
2025.02.14価格改定のお知らせ〜...YDSでは、昨今の物価高の情勢を鑑みて、価格改定を...
-
2025.02.10木材の強い生命力が感...愛知県と岐阜県の両県を結ぶ、大きな川である木曽...
-
2025.02.07森の中の図書館の新築...今回は、計画中の「森の中の図書館"Water Square"...
-
2025.02.05無骨な木造軸組建築の...いよいよ犬山城の天守閣内部に入ってゆきます。
-
2025.02.03先制攻撃すべき建築裁...建築裁判のコンサルティングを行っていると、実務...
-
2025.01.29先制攻撃が重要な裁判...筆者は、これまでに多数の建築裁判に関わりました...
-
2025.01.27支笏湖の優美な温泉宿...支笏湖を訪問し、水中遊覧船に乗りました。支笏湖...
CATEGORY
ARCHIVE
- 2025/026
- 2025/016
- 2024/126
- 2024/117
- 2024/106
- 2024/0912
- 2024/088
- 2024/079
- 2024/066
- 2024/0511
- 2024/0413
- 2024/0311
- 2024/025
- 2024/0112
- 2023/1213
- 2023/117
- 2023/1011
- 2023/0915
- 2023/088
- 2023/0712
- 2023/0611
- 2023/0512
- 2023/0427
- 2023/0322
- 2023/0210
- 2023/018
- 2022/1210
- 2022/1117
- 2022/1027
- 2022/0927
- 2022/0824
- 2022/0722
- 2022/0622
- 2022/0527
- 2022/0430
- 2022/0332
- 2022/0236
- 2022/019
- 2021/122
- 2021/111
- 2021/101
- 2021/091
- 2021/081
- 2021/071
- 2021/061
- 2021/051
- 2021/041
- 2021/031
- 2021/021
- 2021/013
- 2020/105
- 2020/065
- 2020/051
- 2020/026
- 2020/014
- 2019/121