戦場を変える建築裁判戦略〜原告セットのアウェーでの圧倒的不利な戦い〜|建築裁判と戦略5

query_builder 2024/11/29
コンサルティング
YDS

建築裁判は、比較的「分かりやすい」と思われます。

大抵の場合は損害賠償裁判となることが多いのが建築裁判では、不法行為等も対象となることがあります。

裁判においては、主に訴訟を提起する原告側が「原告の主張を立証する」必要があります。

そして、その立証過程では、工事請負契約書・設計図書・見積書など多数の書証・証拠がセットとなって論が展開されます。

中でも、裁判官が最も重視するのが工事請負契約書であり、契約書に対して反論することは極めて難しい場合が多いです。


さらに、多数の工程表などの工事関係書類が登場することもあります。

「これだけの証拠があるので、
原告の主張を通してください!」

原告代理人の弁護士があたかもこう主張しているかのように、訴状を読むと感じられます。

裁判官の視点から見れば、

「確かに、証拠は
沢山ありますね・・・」

数多くの証拠・書証で固められた「原告の論法」には、ある程度納得するしかないでしょう。

YDS

因果関係も分かりやすい建築裁判・建築訴訟では、原則として被告は「極めて不利」な傾向があります。

「これだけの証拠と書証で
押せば良い!」

原告代理人が「証拠は十分で押せる」と考えているのが、訴状や準備書面から窺えることが多いです。

そして、そもそも、原告が提起する論法に従って戦わざるを得ない被告代理人は、

「原告のこの点が
おかしいです!」

様々な反論を展開しますが、そもそもが「原告がセットする戦場」での戦いとなります。


いわば、「原告がセットするアウェー」で圧倒的不利な戦いを強いられるのが被告であり、被告代理人の主張は、原告代理人は「大筋は読んでいる」状況になります。

そして、原告代理人は、

「我らの主張の何が
おかしいのですか?

あなたの主張がむしろ不合理ですよね!」

このように「被告代理人の主張に対する反撃」は「想定内」であることが多いです。


この流れを書面で見る裁判官の視点からすれば、

「確かに、被告は
ただ反論しているだけだ・・・」

こう感じるのが当然であり、「ただ反論」しても無意味なのは明らかです。

ここで、「原告代理人が万全期して作成したストーリー」に反撃しなければならない、被告代理人は大変です。

「とにかく、責任を原告側に
押し付けるしかない・・・」

被告代理人としては、「責任を原告側に切り返す」しか方法がないことも多いです。

こうなっては、「明らかに負け」となることが多いのが建築裁判です。

YDS

長篠の合戦屏風(戦国合戦絵巻 ダイヤプレス)

これではまるで、長篠の戦いで「織田・徳川の馬防柵」に突撃した武田勝頼軍と同じでしょう。

「武田勝頼が無謀であった」と表現されることが多い長篠の戦い。

「武田勝頼が無謀であった」と表現されることが多いのが、長篠の戦いです。


実は、織田・徳川軍は極めて用意周到に戦略を練り、「武田軍が突撃せざるを得ない」状況を作り出していました。

織田信長は「万全の体制」を整えて、武田の攻撃を待っていました。

おそらく、信長は、

「武田軍の背後の砦を
攻め落としてやろう・・・

そして、退路を絶てば、
武田勝頼は「前進するしか他にない」状況になる・・・」

このように考えて、「退路を断つ」戦略に出ました。


そして、信長は、

「武田が突進してきたら、
鉄砲を撃ち浴びせれば良い・・・」

このように考え、「信長の考え通りに突撃した」のが武田勝頼軍でした。

この「織田・徳川の大戦略」の中、勇猛極めた武田軍は大敗北して凋落しました。

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長篠の戦い同様に「原告がセットした戦場で戦う」のは、致命的に不利です。

そこで、被告側が取るべき戦略は「戦場を変えること」しかありません。

具体的には、大量に登場する書証・証拠書類の契約書・設計図書・工程表などを精査し、原告の問題点を洗い出すことが大事です。

そして、

「原告が提出した書証の
〜が明らかに不合理です!」

このように「戦場を変えて、奇襲攻撃を仕掛ける」のがベストでしょう。


このように、「原告が作成したストーリー」を効果的に叩けば、

「確かに原告が出した書証・証拠が
おかしいならば、

原告の訴訟提起の内容の
信ぴょう性が薄れますね・・・」

裁判官は、このように考えます。


原告自身が提出した書証には、必ず不合理な点があります。

それを叩いて、「被告に有利な戦場を作り出す」戦略が最も効果的です。

実際に私たちは、「明らかに負け筋」または「事実上敗訴確定」の裁判において、これらの戦略を効果的に用いて、「ゼロ和解」などに切り返すことに成功した事例が多数あります。


建築裁判の当事者、代理人の弁護士の方は、早期に経験豊富な一級建築士に相談することを強くお勧めします。

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