分が悪い・不利な・「勝てない」建築裁判を有利にする戦略〜戦う土俵を変更〜|東京の建築設計
これまでに様々な建築裁判・訴訟に関わってきました。
最初は、中学・高校・大学の同級生の弁護士からのSOSから始まった、建築裁判・訴訟のコンサルティング。
建築裁判は損害賠償訴訟となることが、ほとんどのケースで、その金額は数百万円から数億円程度になることが多いです。
なかには、訴訟額が十億円を超えるケースもあります。
裁判には、様々なことが係争対象となりますが、建築裁判・訴訟に関して多数の事例を扱ってきたので、これら建築裁判・訴訟に関して「裁判の方向性」が、かなり見えてきました。
建築裁判に限らず、裁判をするのは「訴訟を提起する原告にとっても、多額の費用、多大な時間、多くのエネルギーがかかり、大きな負担になることが想定されます。
被告側も大変ですが、原告側は元々「勝つつもりで訴訟を提起している」のが現実です。
お金も時間もかかる訴訟を「負けるかもしれない」と考えて、提起する方は少数と考えます。
原告は訴訟に様々な資料をつけて、損害賠償などを強く主張してきた時、被告側は「原告が準備した土俵」で戦うことになります。
そして、様々な裁判官の訴訟指揮を見てきましたが、建築設計や工事の現場を知らない方々である裁判官は「原告の主張に沿って」裁判指揮をする傾向があります。
この「原告が準備した土俵」で戦うと、被告側は、どう反論しても「分が悪い」ことになります。
それは当然のことであり、原告、特に原告代理人である弁護士は「勝てる論」を準備して「勝てる土俵」を設定して、被告を攻めてくるからです。
この「原告が勝てると考えている土俵」で戦い続ける被告、及び被告代理人は「原告の主張」に対して、その反論を主張してもジリジリと交代することになります。
原告が主張する「勝てる論」に対して、場当たり的に反論を重ねていっても、裁判官の良い心証が得られるはずがなく、多くの場合で負ける傾向があります。
私たちが建築裁判・訴訟のコンサルティングを受けるのは、「裁判の最初から」というケースもありますが、多くは「裁判の途中から」です。
そして、その裁判の訴状・準備書面・期日報告書を拝見すると、「被告が原告に押されているのが明らか」であることが多いです。
ここで、私たちが具体的に建築訴訟に参加する際、私たちが心がけていることは「戦う土俵を変更すること」です。
相手(原告)がセッティングした土俵で一生懸命押し相撲したところで、「原告が有利である土俵」では勝つのは難しいからです。
それでは、具体的に「どのように戦う土俵を変更する」か、です。
建築裁判においては、通常の裁判同様に、様々な請求書、契約書、支払明細書等、お金に関する書類が書証として提出されます。
これらの「一般的な書類」は、裁判官も弁護士も理解できますが、建築裁判の特殊性は、「裁判官や弁護士が分からない書証がたくさん登場する」ことです。
例えば、工事請負契約書や工程表は、裁判官・弁護士の方も「ある程度わかる」と思われますが、設計図書や見積書等、建築専門分野になると「全く分からない」でしょう。
ここで、「戦う土俵」を、通常の損害論や責任論から、設計図書や見積書などの「建築関係書類」にすることが大事です。
大抵の建築裁判となるケースでは、設計図書などに「明らかな誤り」や、中には「建築基準法違反」である事柄があります。
それらを発見するのは大変な面がありますが、多数の建築裁判に関わった経験から、原告あるいは被告の建築会社・設計会社等が誤りを犯すポイントが分かってきました。
そこで、私たちはすべての設計図書を詳細にチェックし、問題点を探します。
そして、多少の時間はかかりますが、大抵の場合で、「何らかの問題点」が発覚します。
仮に「設計図書に著しい問題があった」とします。
すると、ここで私たちは代理人弁護士に問題点を指摘して、「土俵を変更する」ことを要請します。
裁判官が訴訟指揮をしている中で「登場していない論点」を私たちが設定して、「戦う土俵」を新たに作ることを、代理人弁護士に納得していただきます。
そして、「これまで戦い続けている土俵」において論を重ねながら、「新たな土俵」を設定して、相手方に「反論が難しい強力な指摘」を行います。
このように「新たな土俵」を出されると、「土俵を設定していたはず」の原告代理人は慌てる傾向があります。
かつて、ある裁判で私たちが関わり、「新たな土俵」を出した結果、「偽造した」としか思えない工程表を提出してきたことがありました。
ここで、さらに「書証として提出された工程表の矛盾点」を私たちがついた結果、原告側代理人は反論に窮し、「新たな土俵」での勝利に続き、「これまで部が悪かった土俵」での戦いでも強く反撃できました。
このように、建築裁判で分が悪い時は、「土俵を変更する」ことを是非考えてみましょう。
その時、実務・法律に詳しい一級建築士に相談し、出来れば「意見書の依頼」だけではなく、裁判の間ずっとコンサルティングすることを依頼するのが良いでしょう。
株式会社YDS建築研究所
東京都千代田区神田三崎町2-20-7 水道橋西口会館6F
TEL:03-6272-5572
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