偽造書類を裁判所へ提出する東証上場ゼネコンの発想〜重要な証拠を提出する者は「第三者」か?〜|建築裁判・不動産裁判

query_builder 2024/01/27
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建築工事の際に、必ず作成される年間(全体)工程表。

年間(全体)工程表には「大雑把な流れ」が記載されており、工事の状況によって多少変化します。

そして、年間工程表は多くの場合「一度作成」されて、あとは月間・週間工程表が随時作成されます。

ところが、ある建築裁判では「明らかに不自然な年間工程表」が証拠・書証として提出されました

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この裁判では、「工事完成の遅延」による「損害賠償」が問題でした。

この時、原告代理人である弁護士は「工事遅延の理由」を立証する必要があります。

この「工事遅延の立証」の書類は、多くの場合は「弁護士が裁判のために作成する説明書類」が多いです。

エクセルなどで簡単に、分かりやすく「工事の遅延」を説明して、

「原告のせいで、
これだけの工事遅延が発生しました!

その証拠は、
この「工程表を整理した書類」です!」

と代理人・弁護士は主張します。

そして、その根拠として、

「この「工程表を整理した書類」の
元となる書類は、ゼネコン作成の年間工程表です!」

という論理です。

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裁判としては「非常に分かりやすい」流れなので、 「それは、ストーリーが しっかりしていますね!」 と裁判官は考えるようです。 ところが、工事の工程が変わっても「年間工程表を修正する」習慣は建設業界にはありません。

これは、普通に考えれば分かることで、「年間工程表は大枠の工程表」であり「多少の変更はありうる」からです。

そして、「多少の変更」は調整の上、月間工程表・週間工程表などに反映されます。

「大枠」である「年間工程表が修正される」はずはないのです。

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これは、おそらく原告側の工事を行ったゼネコン担当者が、「代理人・弁護士に依頼されて作成した」としか思えません。

そもそも「存在しないはずの、何度も何度も修正が加えられた年間工程表」は「存在するはずがない」のです。

年間工程表は、

「全体としては、
この流れで、工事を行います!」

という、建築工事現場のマニフェスト・ミッションみたいなものと考えて良いでしょう。

それなのに、年間工程表が度々変わるのは、

「私たちのマニフェスト・ミッションは、
しょっちゅう変わります!」

と宣言しているようなもので、極めて奇異なのです。

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ある裁判では、工事中に一月経過しない間に「二度も年間工程表が修正されていた」ことがありました。

さらに、それらの「なんども修正された年間工程表」が裁判所に証拠として提出されていたのです。

これは、

「裁判の因果関係を立証するために、
あなたたちの工程表が必要です!

原告による「損害」を説明するためには、
工程が変更せざるを得なくなり、工事が遅延したように説明したい!」

となり、

「そのためには、ゼネコンの工程表が
「原告のせいで変わり、遅延した」と立証したい!」

と考えた代理人・弁護士がゼネコンに「様々な年間工程表の作成」を依頼するのでしょう。

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この時、仮に一部の工程変更があれば、実際に月間工程表・週間工程表があるはずです。

それらと「年間工程表を比較して工程のずれを立証すれば良い」のですが、

「年間工程表と月間工程表・週間工程表では、
比較するのは、裁判官は理解しにくいだろう・・・

だから、全部年間工程表であれば、
見やすくて、比較しやすい!」

と考えたに違いない代理人・弁護士。

この要請を受けて、ゼネコン担当者は、

「本当は年間工程表は
一枚しかないけど・・・

裁判に合わせて、
何度か修正したことにして、年間工程表をつくろう・・・」

と考えたのでしょう。

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これが、ゼネコンが「裁判の当事者」であれば、かなり危険なことであることは分かるはずです。

それにも関わらず、いとも易々と「書類を偽造する」のは、

「ま、我々は
第三者だからな・・・」

と思っているからでしょう。 裁判の概念としては「当事者とは、原告と被告」かもしれません。

一方で、「重要な証拠・書証を提出する場合は、第三者の立場を逸脱する」と考えます。

「第三者だから関係ない」と、偽造した書類を堂々と裁判所に証拠として提出する会社。

海外の事例は知りませんが、日本の法制度は「証拠を提出する者の立場」を再考すべきでしょう。

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株式会社YDS建築研究所

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TEL:03-6272-5572


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