裁判所へ偽造書類提出する東証上場ゼネコン〜重要な証拠を提出する者は「第三者」か?〜|建築裁判・不動産裁判
建築工事の際に、必ず作成される年間(全体)工程表。
年間(全体)工程表には「大雑把な流れ」が記載されており、工事の状況によって多少変化します。
そして、年間工程表は多くの場合「一度作成」されて、あとは月間・週間工程表が随時作成されます。
ところが、ある建築裁判では「明らかに不自然な年間工程表」が証拠・書証として提出されました
この裁判では、「工事完成の遅延」による「損害賠償」が問題でした。
この時、原告代理人である弁護士は「工事遅延の理由」を立証する必要があります。
この「工事遅延の立証」の書類は、多くの場合は「弁護士が裁判のために作成する説明書類」が多いです。
エクセルなどで簡単に、分かりやすく「工事の遅延」を説明して、
「原告のせいで、
これだけの工事遅延が発生しました!
その証拠は、
この「工程表を整理した書類」です!」
と代理人・弁護士は主張します。
そして、その根拠として、
「この「工程表を整理した書類」の
元となる書類は、ゼネコン作成の年間工程表です!」
という論理です。
裁判としては「非常に分かりやすい」流れなので、 「それは、ストーリーが しっかりしていますね!」 と裁判官は考えるようです。 ところが、工事の工程が変わっても「年間工程表を修正する」習慣は建設業界にはありません。
これは、普通に考えれば分かることで、「年間工程表は大枠の工程表」であり「多少の変更はありうる」からです。
そして、「多少の変更」は調整の上、月間工程表・週間工程表などに反映されます。
「大枠」である「年間工程表が修正される」はずはないのです。
これは、おそらく原告側の工事を行ったゼネコン担当者が、「代理人・弁護士に依頼されて作成した」としか思えません。
そもそも「存在しないはずの、何度も何度も修正が加えられた年間工程表」は「存在するはずがない」のです。
年間工程表は、
「全体としては、
この流れで、工事を行います!」
という、建築工事現場のマニフェスト・ミッションみたいなものと考えて良いでしょう。
それなのに、年間工程表が度々変わるのは、
「私たちのマニフェスト・ミッションは、
しょっちゅう変わります!」
と宣言しているようなもので、極めて奇異なのです。
ある裁判では、工事中に一月経過しない間に「二度も年間工程表が修正されていた」ことがありました。
さらに、それらの「なんども修正された年間工程表」が裁判所に証拠として提出されていたのです。
これは、
「裁判の因果関係を立証するために、
あなたたちの工程表が必要です!
原告による「損害」を説明するためには、
工程が変更せざるを得なくなり、工事が遅延したように説明したい!」
となり、
「そのためには、ゼネコンの工程表が
「原告のせいで変わり、遅延した」と立証したい!」
と考えた代理人・弁護士がゼネコンに「様々な年間工程表の作成」を依頼するのでしょう。
この時、仮に一部の工程変更があれば、実際に月間工程表・週間工程表があるはずです。
それらと「年間工程表を比較して工程のずれを立証すれば良い」のですが、
「年間工程表と月間工程表・週間工程表では、
比較するのは、裁判官は理解しにくいだろう・・・
だから、全部年間工程表であれば、
見やすくて、比較しやすい!」
と考えたに違いない代理人・弁護士。
この要請を受けて、ゼネコン担当者は、
「本当は年間工程表は
一枚しかないけど・・・
裁判に合わせて、
何度か修正したことにして、年間工程表をつくろう・・・」
と考えたのでしょう。
これが、ゼネコンが「裁判の当事者」であれば、かなり危険なことであることは分かるはずです。
それにも関わらず、いとも易々と「書類を偽造する」のは、
「ま、我々は
第三者だからな・・・」
と思っているからでしょう。
裁判の概念としては「当事者とは、原告と被告」かもしれません。
一方で、「重要な証拠・書証を提出する場合は、第三者の立場を逸脱する」と考えます。
「第三者だから関係ない」と、偽造した書類を堂々と裁判所に証拠として提出する会社。
海外の事例は知りませんが、日本の法制度は「証拠を提出する者の立場」を再考すべきでしょう。
株式会社YDS建築研究所
東京都千代田区神田神保町三丁目2番地 高橋ビル4F
TEL:03-6272-5572
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