偽造書類を裁判所へ提出する東証上場ゼネコンの実態〜年間工程表と月間工程表と週間工程表〜|建築裁判・不動産裁判

query_builder 2024/01/22
コンサルティング
YDS

建築工事を行う際には、工程表の作成が大事です。

着工時期も大事ですが、竣工時期・完成時期が非常に大事な建築工事。

なんらかの理由で「完成が遅延すること」は、出来るだけ避けなければなりません。

工事をする対象が個人邸・戸建住宅であれば、建主が、

「ちょっと色々と追加で
お願いしてしまったから・・・」

「完成が1ヶ月くらい
先になってもOKです・・・」

と言うこともあるかもしれません。

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対して、集合住宅や事業性の高いオフィスビルなどの建物の建築などでは、

「完成時期は
必ず守って下さい!」

というスタンスです。

これは当然のことであって、工事が遅延して完成時期が遅れると「経済的損失が発生する可能性が高い」からです。

このように「経済的損失が発生する原因」が建築業者の側にある場合は、損失補填の必要が生じる可能性があります。

個人邸の場合でも「経済的損失発生の可能性」として、「賃貸マンションに入居していた場合」などが考えられます。

個人邸の場合には、建主がたまたまご実家に一時的にお住まいの場合などは、

「ちょっとくらい
完成が遅れても問題はないです・・・」

となることがあるので、それほどシビアに考えなくても良い場合があります。

いずれにしても、「建物の予定通りの完成」は極めて大事なので、着工前に年間工程表を作成します。

そして、大雑把な工事の順番や時期などの工程を記載して、

「このような流れで
工事をしてゆきたいと考えます・・・」

設計者や建主は、建設業者から工程表を受け取ります。

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これらの工程表は、建築確認申請などの各種届・申請には不要であることが多いです。

ところが、助成金申請などでは「工程表の提出が必要」であることがあります。

それは、

「いつ完成するかによって、
助成金を出す時期が変わり、財源に影響がある・・・」

と自治体などが考えるからでしょう。

また、ある一定規模の大規模な工事においても、工程表の提出は求められることがあります。

これらの工程表には、最も大枠である年間(全体)工程表・月間工程表・週間工程表があります。

最も大枠の工程表は、工事期間が1年以上の場合の建築は年間工程表、1年以下の場合は全体工程表となります。

自治体などで提出が求められるのは、年間(全体)工程表であることが多いです。

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年間工程表には「大雑把な流れ」が記載されており、工事の状況によって多少変化します。

「ちょっと予想外に
〜の工事が遅れたので、ここで調整しよう・・・」

「工事を管理すること」が、ゼネコン・総合建設業の最も大事な仕事の一つです。

工事の進行状況に合わせて、工程は多少変化しますが大筋が変わることはありません。

週に1度程度現場で打ち合わせする設計者に対しても、工事の進捗状況が報告されます。

そして、年間工程表は多くの場合「一度作成」されて、あとは月間・週間工程表が随時作成されます。


「この材料の納期が少し
遅れそうなので、こちらの工事を先に実行します・・・」

などの報告が設計者や建主にされます。

そして、「工事状況に合わせて工程を調整して工事が進行」するのが常です。

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この「ほとんど訂正されるはずのない」年間(全体)工程表ですが、裁判の現場では状況が異なります。

これまで、建築裁判のコンサルティングをしてきましたが、ある裁判では「何度も訂正された」年間工程表が登場しました。

この「ほとんど変更が加えられるはずがない」年間工程表が複数出てきたのを見た際には、

「これは、
非常に怪しい・・・」

こう感じました。

しかもこの「怪しい年間工程表を作成していた」業者は、ある東証上場ゼネコンでした。

YDS

「あのゼネコンが
こんな書類を作成するんだ・・・」

最初は「とても驚いた」のが現実です。

これは明らかに「偽造された可能性が高い」書類です。

相手方の書証を「偽造である」と主張しても、裁判官はなかなか「偽造である」とは認めません。

それでも、相手方への反論において「偽造の可能性を指摘」することは有効です。


裁判の証拠・書証には、このように「偽造された可能性が高い」書類が提出されることがあります。

工程表などが証拠・書証として提出された場合は、早めに経験豊富な一級建築士に相談すると良いでしょう。

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