実施すべき原告想定外の反撃〜大事な代理人への安心感・「ただ反論」では敗北〜|建築裁判
建築設計の専門家として、多数の建築裁判に関わってきました。
これだけ多数の建築裁判に関わると、「裁判の流れ」や大事なポイントが分かってきました。
建築裁判では損害賠償請求となることが多く、「瑕疵を補修ための修繕費用」のように「実損になっていない」費用であることもあります。
この場合は、「瑕疵がある」という事実を原告が立証し、「これからかかる費用を損害賠償請求」することになります。
そして、建築裁判の場合には、工事請負契約書、見積書、写真、設計図書、工程表など多数の書類は、書証・証拠として提出されます。
損害賠償請求は、「すでにかかった費用」または「これからかかる費用」を請求することになりますが、
「被告の責任で、 このような損害が発生した!
だから、被告に対して 〜円の支払いを命ずるよう求める!」
多数の書類を元に、原告代理人は「分かりやすい主張」を行います。
原告がこのように「明快な主張」をするのに対して、被告代理人は、
「原告の主張は、
この点で誤りであり、根拠がない!」
このように、「原告の主張に、ただ反論」するケースを見受けます。
「ただ原告の主張を反論」では、到底勝つことは出来ないのは明白です。
かつて、被告の方から、
「今、裁判をしているのですが、
力を貸して欲しい・・・」
建築裁判への意見書などの協力を打診され、業務を受けました。
この時は、原告側が建設会社で、支払いで揉めていましたが、被告の立場もよく分かる状況でした。 「ただ反論」では負けるのが明白だったので、設計図書や工事現場から様々な問題点を洗い出しました。
そして、
「原告の業務には、
〜と〜に重大な瑕疵があります。」
原告側に、重大な瑕疵があることを明確に指摘しました。
ところが、私たちの指摘を聞いた被告代理人弁護士は、
「それは分かりますが、
裁判の論点ではありません・・・
裁判官が聞いていることは、
そこじゃないんです・・・」
私たちの指摘に対して「裁判指揮に合わない」として、採用しませんでした。
これまでの経験から、「このままでは負ける」とハッキリ認識したため、
「あの弁護士のやり方では、
負けてしまうと思いますが・・・」
ハッキリと依頼人に伝えました。
これが「弁護士のからの紹介」の業務であれば、弁護士との関係上、こういうことは言いません。 「被告から直接の依頼」だったため、「依頼人を守るため」に伝えたところ、
「確かに、あの弁護士は、
いつも話をはぐらかして、聞いてくれないんだよな・・・」
本人も「不快感を持っていた」のでした。
さらに、依頼人(被告)は続けて、
「いつも打ち合わせの時に、
前回の打ち合わせのことを覚えてなくて・・・
この人で
本当に大丈夫か、って不安は持っていた・・・」
このように「代理人に不安感を持っていた」依頼人に対して、
「負けるくらいなら、
弁護士を変えるのも選択肢になりますが・・・」
このように「弁護士変更も選択肢」と伝えました。
それに対して、依頼人(被告)は、
「確かに、どうもあの人の
任せていていると、不安・・・
まあ、でも昔からの
付き合いだから、仕方ないか・・・」
結局、「仕方ない」で裁判が進行した結果、完全敗訴となりました。
「あの時、あなたの言うことを
聞いていたら、良かった・・・」
後になって、依頼人からこう言われ、私たちとしては忸怩たる思いをしました。
「勝つのが難しい」建築裁判で「負けない」ためには、少なくとも「安心感がある代理人」であるべきです。
「ただ反論」は無意味で、敗北すれば被告側に大きな損害が出る建築裁判。
場合によっては、代理人を変えてでも「原告が想定外の反撃」を行うべきです。
原告の主張に沿った反論は、大きな効果を持たないのは明白です。
私たちは、「明らかに負け筋」または「事実上敗訴確定」の裁判において、これらの戦略を効果的に用いて、「ゼロ和解」などに切り返すことに成功した事例が多数あります。
建築裁判の当事者、代理人の弁護士の方は、早期に経験豊富な一級建築士に相談することを強くお勧めします。
株式会社YDS建築研究所
東京都千代田区神田三崎町2-20-7 水道橋西口会館6F
TEL:03-6272-5572
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