建築基準法に適合しない「違反建築物」と都市景観

query_builder 2024/04/15
コンサルティング
YDS

電柱と電線がたくさんあって景観が悪い日本の街。

設計する際は、都市や街との関係を重視しますが、電柱や電線は「どうにもならない存在」でもあります。

せっかく外観をきれいに立てても、すぐ近くに電柱があると「台無し」になる気持ちになってしまいます。

設計者としては、なんだか悲しい気持ちになります。

ところが、さらに大きな問題があります。

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なんだか悲しい気持ちになりますが、さらに大きな問題があります。

それは、日本の都市・街には違反建築物が多いことです。 建物を設計・建築する際には、建築基準法等の法律に従う・適合する必要があります。

そして、建築確認申請という事実上の「建築許可申請」を行なって、それを通過する必要があります。

規模が大きくなるにつれて、自治体の条例等に従う申請等が増えます。

最も大事なのは「建築確認申請」となります。

YDS

ところが、この「建築確認申請」に明確に違反した建物が、日本では数多く見受けられます。

日本は「違反建築物が多い」という特徴があります。

そして、それら違反建築物は当然のことながら、「高さ規制」などに違反しています。

その結果、違反建築物たちは「カオスの都市」の景観をさらに乱しています。

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東京の街を歩いていると、経験豊富な建築設計者ならば、

「あの建物は
この辺りには建たなそうだな・・」

あるいは、

「あっちの建物は、あのあたりが
日影規制(高さ規制)に違反している感じだな・・・」

と感じることがあります。

建物に対する法規制には、都市・街のエリアごとに指定されている「用途地域」が大事です。

住宅地ならば「第一種低層住居地域」が多く、大きな道路に面する商店街などは「商業地域」が多いです。

これらの「用途地域」は、ネットですぐに調べられます。

YDS

調べなくても「エリアごと」なので、建築士・建築設計者ならば大体分かります。

「このあたりの用途地域だと、
あの高さは建たないはず・・・」

「勝手に増築したのか、
建築時に申請とは異なる建築をしたのか・・・」

と思うことがあります。

YDS

設計する計画地の所有者の隣に、違反建築物があったことがありました。

建主は、「隣の建物が少し高いこと」は大いに気になります。

建物の情報は「建築概要書」等で取得できます。

そして、詳細に法規制をチェックすると、違反建築物であることが判明しました。

本来、この「明白な建築基準法違反の建築物」に対しては、建築基準法に規定があります。

YDS

建築基準法第九条:違反建築物に対する措置

特定行政庁は、建築基準法令の規定又はこの法律の規定に基づく許可に付した条件に違反した建築物又は建築物の敷地については、当該建築物の建築主、当該建築物に関する工事の請負人(請負工事の下請人を含む。)若しくは現場管理者又は当該建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者に対して、当該工事の施工の停止を命じ、又は、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限その他これらの規定又は条件に対する違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができる。


少し長くて、分かりにくい面がありますが、上の建築基準法第九条では、

「違反建築物に対して、自治体(特定行政庁)は
除却(解体)・使用停止等命ずることが出来る!」

と明記されています。

YDS

ところが、この「違反建築物に対して除却(解体)が命令」されることは、ほとんど皆無です。

違反建築物に対しては、自治体も特定行政庁も、

「民間の所有物に対しては、
何も言えません・・・」

となってしまう傾向があります。

これは「どう考えてもおかしい事態」です。

「違反の程度」にもよるかも知れませんが、違反建築物に対しては強い姿勢が必要でしょう。

そして、そのような「当たり前の姿勢」が日本の都市景観を少しでも良くするでしょう。


私たちは、「完全に建築基準法に適合する」遵法の設計を行なっています。

違反建築物は少しでもなくなることを心から願います。

そして、違反に対しては、自治体・特定行政庁には強い姿勢を持って欲しいです。

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株式会社YDS建築研究所

東京都千代田区神田三崎町2-20-7 水道橋西口会館6F

TEL:03-6272-5572


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