裁判の証拠・書証となる工事見積書〜「工事見積書」の影響力と疑わしさ〜|建築裁判・不動産裁判
建築の瑕疵を争う建築裁判の現場では、損害賠償額の根拠が大事です。
この時、原告・原告側代理人は、
「改修・修繕工事を行うとすると、
いくらになりますか?」
と工事を依頼する可能性がある建設会社やゼネコンから見積もりを取ることは可能です。
ところが、この修繕工事が裁判で争うことは事前に伝えるべきことです。
このことを伝えずに「あたかもすぐに依頼する可能性がある」かのように見積もり依頼すれば、建設会社は、
「この工事を行うとすると
〜円となります・・・」
現地調査を経て、およそ2週間程度の時間をかけて詳細な見積書を提出してくれるでしょう。
この「建設会社が作成した見積書」を裁判に提出することは可能です。
見積もりを作成するのは手間がかかるので、本来ならば、
「実は、この改修・修繕工事をめぐって
裁判するので、見積書を作成して頂きたい・・・
と正直に伝えるべきです。
ところが、それを聞いた建設会社・ゼネコンは、
「裁判に関わるのは面倒だ・・・
しかも、裁判の結果が出るのは1〜2年先だから、すぐに受注はない・・・」
と考える可能性が高いです。
こう考えると、建設会社・ゼネコンにはメリットはなく、デメリットだらけなので、
「そういう事態でしたら、
弊社では見積もりは出来ません・・・」
おそらく断ってくるでしょう。
誰だって、争いごとや裁判に巻き込まれることは嫌なのです。
そこで、
「建設会社・ゼネコンは見積書を作ってくれないから、
私たちが作成します・・・」
瑕疵を調査する会社に所属する一級建築士たちは、「工事の大体の想定」を行なって工事見積書を作成します。
そして、その「工事見積書」が裁判所に書証・証拠として提出されます。
ところが、この見積書は「金額を少し多めにしている」傾向があります。
「どうせ、裁判官に減額されるから、
少し多めに盛っておく(増額する)か・・・」
と見積もり作成者が考えるからです。
これだけでも「工事見積書」としての証拠としての正当性を欠くと思います。
さらに、工事見積書を作成するのは、建設会社・ゼネコンの実務者ではなく「大体を想定して」建築士が作成します。
建築工事現場や工事見積書をたくさん見てきた経験豊富な一級建築士なら、「大体の工事の費用」は想定できます。
ところが、僕は工事見積書を査定する自信はありますが、しっかりした「見積書を作成する」のは難しいです。
「あるものを査定する」のと「作成する」ことは全く異なるからです。
このように裁判に提出される「工事見積書」の正当性は非常に疑わしいですが、実態としては証拠となっています。
そして、この「工事見積書」という書証・証拠は、影響力が大きいのが現実です。
建築裁判の見積書・工程表・設計図書などの証拠・書証は、プロに見てもらうのが最も良いでしょう。
早い段階で、経験豊富な一級建築士に相談することが大事です。
株式会社YDS建築研究所
東京都千代田区神田神保町三丁目2番地 高橋ビル4F
TEL:03-6272-5572
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