不自然な工事見積書と裁判の現場〜損害賠償の証拠となる見積書〜|建築裁判

query_builder 2023/11/24
コンサルティング
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建築の工事を行う際には、上の写真のような「工事請負契約書」を発注者と受注者(ゼネコン・工務店)の間で結びます。

契約書一式には、最も重要な契約書とともに、約款や設計図書、見積明細書などが一緒に綴じられます。

このように分厚い「工事請負契約書」はマンションやビルなど比較的大規模な建築の際に作成されます。

個人邸などの場合には、もっと簡単な書式となり厚さもだいぶ薄くなります。

工事請負契約書に「工事金額の根拠」となる見積明細書等が一緒なのは当然ですが、設計図書も重要です。

それは、「設計図書の内容の建築物を建築する」ために費用であり、設計図書こそが金額の最も重要な根拠となります。

実際、建設業法第19条には、建設工事に関する工事請負契約書に関して明記されています。

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建設業法第19条:工事請負契約書

一 工事内容

二 請負代金の額

・・・・・


建設業法では十六の項目が挙げられていますが、その中で重要なのは上に挙げた五点です。

設計図書はこのうち「一 工事内容」に該当する、最も重要な書類となります。

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建築裁判・訴訟の場合、ほとんど全ての場合において、損害賠償請求が発生します。

原告側は、被告の責任を追求して損害賠償請求をします。

裁判においては、証拠や書面が最も重視される傾向があります。

実際、建築設計や建築工事のことなど「何も分からない」裁判官が裁判を進行します。

その際に、「損害賠償額の根拠」を提示する必要が原告にはあります。


もし、「損害賠償額の根拠」が提示されていないと、

「原告の損害賠償額の
根拠はなんですか?」

と裁判官から問われてしまいます。

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裁判のベテランである弁護士は、そうした事実を把握しています。

そこで、「損害賠償額の根拠が必要」と考えます。

この「損害賠償額の根拠」として最も明確なのは、「損害賠償額が明確に示された書類」となります。

すると、「損害の原因である工事を行うための費用」が書面で記載されていることが大事です。


弁護士は、

「損害賠償額の根拠として、
損害賠償額をまとめた書類=工事見積書が欲しい!」

と考えます。

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すると、上記のような「しっかりと製本された見積書」ではなくても、「工事見積書」を作成する方がいます。

建築設計や工事に関して経験豊富な建築士や、それに類する方ならば「工事見積書を作成」することが可能です。

建築訴訟においては、そのような「損害を是正するための工事見積書」が頻繁に登場します。

ところが、それらの工事見積書には不自然な点が多数あります。

不自然な点が多数ありますが、それらは裁判において、書証・証拠として提出されると有効となります。

書証・証拠に関して、その真偽を査定することがほとんどない裁判において、証拠の信憑性はほとんど議論されません。

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そうした「裁判の為に作成された」工事見積書は、プロが作成しているので、書式も内容もある程度整合性があります。「    この工事見積書に関して、弁護士や裁判官を含めた「建築の専門外」の方が見れば、

「これは、工事見積書として
しっかりしている!」

と判断します。

被告側の弁護士は、「工事見積書の妥当性」が分からないので、ある程度は「ベースとして」考えざるを得ません。

すると、「金額の妥当性」を争うしか方法はありません。

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ところが、そうした「裁判の為に作成された」工事見積書を、建築設計・工事の経験が豊富な一級建築士がみると、

「なぜ、
この項目でこんなに金額がかかるのだ・・・」

「そもそも、この面積は
過大ではないか・・・」

一目で不自然な点が多数あります。

その結果、

「いくらなんでも、
高すぎる・・・」

感覚的には、20〜40%程度高額であることが多いです。

中には、もっと実情とずれている場合もあります。

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実際は、この「裁判の為に作成された」工事見積書に対しては、全額が認められることは原則ありません。

判決に至るにしても、和解で終わるにしても、全額ではなく「一部が認められる」傾向が強い裁判。

それを想定して「裁判の為に作成された」工事見積書は、「少し高額にしておく」傾向があります。

つまり、「実態ではない、金額が盛られた」見積書となります。

これは非常におかしいことだと考えます。

裁判の原則論でゆけば、「是正にかかるであろう工事費用」がベースとなるべきです。

それなのに、「減額を見越して金額を増額した」見積書がベースとなるのは、どう考えてもおかしな現象です。

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これが、我が日本だけではなく、欧米ではどういう実態なのかは分かりません。

   いずれにしても、「金額の根拠」となる書証・証拠が重要であるならば、「証拠」の見積書は実態を反映しているべきです。

このように「建築設計や工事がよく分からない」裁判官が、「よく分からない」書証・証拠を判断する建築裁判。

工事見積書、工程表、設計図書などが書証・証拠として提出される建築裁判においては、早い段階で経験豊富な一級建築士にコンサルティングを依頼することをお勧めします。

損害賠償額が非常に高額になる傾向がある建築裁判では、そうしたコンサルティング費用は「勝てば十分見合う」でしょう。

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株式会社YDS建築研究所

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TEL:03-6272-5572


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