慰謝料獲得の難しさと損害賠償請求のポイント〜設計プロセスを具体的に検証・有効な一級建築士の意見書の書き方〜|東京の建築設計から

query_builder 2020/06/10
コンサルティング
YDS建築研究所

戸建住宅設計においては、「建て主の考え」と「設計者の考え」の食い違いが見受けられることがあります。

「住まいは私たちの希望通り建てて欲しい」という要望が、他の建物よりも強い戸建住宅設計。


 今回は、この「建て主の考え」と「設計者の考え」のトラブルの話です。

建築家・設計者としては「吹き抜け」をつくることは、デザインの一つのポイントです。

天井が高く、伸び伸びとした空間となり、自然の光が差し込んでくる空間イメージを、建築家達は大事にしています。

吹き抜けには様々なデメリットがあり、「エアコンがききにくい」というデメリットが大きいと考えられます。


ある戸建住宅で、弁護士から依頼を頂きました。

階段(室)がリビングと一体となって、広がりのある空間を設計・工事して引き渡した後、トラブルが発生しました。

冬に「階段室から吹き抜けを通して暖気が逃げてしまい、とても寒い」という話です。

現地で建主に話を聞くと、「建て主の考え」と「設計者の考え」のすれ違いが明確でした。


建主としては「話が違う」や「慰謝料が欲しい」という話が出てきます。

ここで「慰謝料が欲しい」は、なかなか認められることはありません。

「被害者」である建主側にとって、「慰謝料が欲しい」気持ちは分かりますが、裁判では獲得が非常に難しいです。

その理由は「根拠が不明確」だからです。


「こんなに寒いから、慰謝料として500万円欲しい」と主張したとします。

裁判では、「では、500万円の根拠はなんですか?」となり、金額の根拠はつくれません。

根拠がありませんから、「根拠となる書面がない以上、認められない」となります。


この点を説明すると、建主も理解してくれました。

そして、「それでは、この寒さを解消するように工事をして欲しい」と主張します。

これは「工事の瑕疵」というよりも「設計の瑕疵」にあたります。

「建主がどの程度納得していたか」によります。

「設計の瑕疵」を建主が主張しても、設計者が「設計時に十分説明して、建主に納得いただいていた」と主張することが多いので、議論は平行線となってしまいます。

お互いに根拠が薄弱で、平行線の議論となると、裁判官は「認められない」と判断します。


大事なことは、「設計時のプロセスの検証」です。

設計時に設計図書・CG等を用いて、設計者から建主に設計案が説明されます。

その経緯において「吹き抜けのメリット・デメリットの説明の具体性の有無」の検証が大事です。

そして、意見書でしっかり裁判官に説明することが大事です。


この例では、設計プロセスの綿密な検証により、「建て主の主張の正当性」をしっかりと文章と資料でまとめて、具体性が高い書類を作成しました。

「問題となること」に対して、その検証を一級建築士に依頼して、しっかりとした書証と書面を作成することが裁判では大事です。

「何を根拠に訴訟するか」を弁護士と相談して、早い段階で住宅設計の実績豊富な一級建築士と相談することが大事です。

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株式会社YDS建築研究所

東京都千代田区神田神保町三丁目2番地 高橋ビル4F

TEL:03-6272-5572


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