損害賠償請求のポイントと慰謝料の現実〜損失を具体的に指摘・効果的な一級建築士の意見書〜|東京の建築設計から

query_builder 2020/02/10
コンサルティング
YDS建築研究所

建築設計において、戸建て住宅の設計は「最も奥が深い」と言われています。

マンション・集合住宅や幼稚園などの施設と比較すると、申請の手続きなどは簡単な戸建て住宅の設計。

大規模な建築設計においては、建築確認申請以外にまちづくり条例や中高層紛争予防条例などに対応した業務・書類作成も必要となり、業務は煩雑になります。


戸建て住宅の設計においては、マンション・集合住宅あるいは施設などよりも、「建主の具体的要望」が強くなる傾向があります。

建主にとっては「人生のかなりの時間を過ごす」住まいであり、それだけに「夢が膨らんでゆく」傾向があります。

そのため、建築士・設計者としては、戸建住宅を設計することは、大変嬉しいことであり、やりがいを感じる業務ですが、大変な面も多いです。


この戸建住宅設計においては、「建て主の考え」と「設計者の考え」の食い違いが見受けられることがあります。

作品性の強い建築家に依頼する場合は、「基本的事項以外は建築家・設計者にお任せ」ということになります。

一方で、「住まいは私たちの希望通り建てて欲しい」という要望があることも現実です。

今回は、この「建て主の考え」と「設計者の考え」に起因するトラブルの話です。


建築家・設計者としては「吹き抜け」をつくることは、デザインの一つのポイントです。

天井が高く、伸び伸びとした空間となり、自然の光が差し込んでくる空間イメージを、建築家達は大事にしています。

一方で、吹き抜けには様々なデメリットがあることも事実です。

例えば、「エアコンがききにくい」というデメリットが大きいと考えられます。


ある戸建住宅で、階段(室)がリビングと一体となって、広がりのある空間を設計・工事して引き渡した後、トラブルが発生しました。

それは、冬に「階段室から吹き抜けを通して暖気が逃げてしまい、とても寒い」という話でした。

弁護士の先生から相談を受けて、現地で建主に話を聞くと、「建て主の考え」と「設計者の考え」のすれ違いが明確でした。

建主としては「話が違う」や「慰謝料が欲しい」という話が出てきます。

ここで「慰謝料が欲しい」という気持ちはわかりますが、なかなか認められることはありません。

それは、「根拠が不明確」だからです。

「こんなに寒いから、慰謝料として500万円欲しい」と主張しても「では、500万円の根拠はなんですか?」と裁判ではなります。

すると、根拠がありませんから、「根拠となる書面がない以上、認められない」となります。

このような説明を弁護士の先生と共に私も建主にしました。

建主も理解してくれ、「それでは、この寒さを解消するように工事をして欲しい」と主張します。

これは「工事の瑕疵」というよりも「設計の瑕疵」にあたりますが、「建主がどの程度納得していたか」によります。

「設計の瑕疵」を建主が主張しても、設計者が「設計時に十分説明して、建主に納得いただいていた」と主張することが多いので、議論は平行線となってしまいます。

お互いに根拠が薄弱で、平行線の議論となると、裁判官は「認められない」と判断します。


そこで、大事なことは、「設計時のプロセスの検証」です。

設計時に設計図書・CG・模型写真等を用いて、設計者から建主に設計案が説明されます。

その経緯で、「吹き抜けのメリット・デメリットの説明の具体性の有無」を意見書でしっかり裁判官に説明することが大事です。

この相談を受けた例では、設計プロセスの綿密な検証により、「建て主の主張の正当性」をしっかりと文章と資料でまとめて、具体性が高い書類を作成しました。

このように、「問題となること」に対して、その検証を一級建築士に依頼して、しっかりとした書面を作成することが裁判では大事です。

「慰謝料は取れない」という前提のもとに、「ならば、何を根拠に訴訟するか」を弁護士の先生と相談して、早い段階で実績豊富な一級建築士と相談することが大事です。

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