建築紛争・裁判の勝訴の方向性〜「調査報告書」の裁判官の姿勢と一級建築士の意見書〜|東京の建築設計
今回は、住宅やマンションなどの施工瑕疵問題及び施工者と発注者(建主)の間のトラブルで、裁判になった際に、具体的に有利に進めてゆき、勝訴へと進めてゆく話です。
住宅やマンションなどの施工瑕疵問題では、原告側と被告側があります。
まず、原告側の場合は、具体的に施工瑕疵を調査して、損害賠償金額の根拠を明確にすることが大事です。
まずは、施工瑕疵の調査を経験豊富な一級建築士・二級建築士に依頼し、実地調査と調査報告書を作成していただきます。
そして、その調査報告書を元に代理人の弁護士の先生が訴状・準備書面を作成してゆきます。
被告側となった場合は、多くの場合において、原告側が非常に細かく対象の建物を調査した調査報告書を提示してきます。
そして、様々な法令違反や施工瑕疵を並び立てて、「改修するためには、この程度の費用がかかる」という工事見積書がセットになっているケースが多いです。
この「工事見積書」が損害額の根拠となります。
書類ベースである裁判において、「損害額の根拠」は非常に有効な書証となる傾向があります。
ここで、裁判官が「調査報告書の内容を全て正」と扱う方向になります。
「調査報告書が証拠として提出」されると、裁判官がその内容を具体的に検討することはありません。
実は「建築の専門分野なので、裁判官は分からない」のが現実です。
さらに、並行して100以上の訴訟を扱っていることが多いのが裁判官であり、「多数の書証を読むのは非常に大変」です。
多忙であり、「専門的で理解できない内容である」ために、「経験豊富な建築士が記載した調査報告書は正しい」として証拠となります。
おそらくは、「問題となっている結論をサッと読んで、原則として正しい」と考えるのが裁判官の姿勢です。
この「様々な施工瑕疵・法令違反」が「正しい」となると、後は「損害賠償額を減額する」方向になります。
「瑕疵や法令違反があること」が前提となると、「損害賠償額の減額」もある程度制限があります。
そこで、まずは「調査報告書をつぶさに読み解いて、正しいか正しくないか」を検討する必要があります。
それには、正確に判断できる、経験豊富な一級建築士に相談することが最も重要です。
調査報告書には間違いがあることが多々あります。
法律の解釈と同様に、建築基準法や建築設計あるいは建築施工に関しては、様々な考え方があるのが現実です。
ところが、建築に関する「調査報告書」に記載されている内容は、非常に一面的なものの見方であることが実に多いです。
「建築基準法等の法令に適合しているかどうか」はある程度明確な基準があります。
対して、設計・施工に関しては「方針や指針はあるが、多くは設計者の考え方」によります。
この点を誤解して、「一面的な発想・考え方に固執して、施工瑕疵を指摘」している調査報告書を見ることがあります。
この場合、「一面的な発想・考え方」であることを裁判官は分かりません。
「一面的な発想・考え方」あるいは「誤った考え方」を具体的に一級建築士の方に指摘していただき、きちんとした意見書にまとめることが大事です。
それこそが、勝訴への第一歩です。
株式会社YDS建築研究所
東京都千代田区神田三崎町2-20-7 水道橋西口会館6F
TEL:03-6272-5572
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