立退・退去問題に効果的な一級建築士の意見書〜貸主が借主を退去させたい時・具体的で論理的な書面〜|東京の建築設計

query_builder 2020/05/30
コンサルティング
YDS

古い建築は、さまざまな部分と共に構造・設備なども老朽化してゆきます。

構造が老朽化すると「地震に対する安全性」が、著しく低下して危険です。

また、設備機器・配管などの老朽化も大きな問題です。

設備機器・配管の改修工事は、意外とコストがかかりますが、築20年を超えてくると改修工事を検討した方が良いでしょう。


リノベーションは意外と手間と費用がかかるので、「新築よりもコストがかかる」ことがあります。

価値ある建物を残す視点では、「新築よりもコストがかかる」のもやむを得ない面があります。

一方で、不動産業界の考え方としては、「リノベーションが新築よりもコストがかかるならば、新築」です。

新築の方が不動産価値が高く、賃料回収等の採算性もよくなります。

そのため、不動産業界としては「建築を解体、新築するためにテナントに退去いただきたい」ということがあります。


事務所・オフィスの場合は、「移転すること」に対しては「テナント側にそれほど問題がない」です。

ところが、店舗の場合は「移転すること」は「地域のブランド・客」を失うことに繋がりかねません。

「移転した結果、すぐ近くで再開」できれば良いですが、なかなか適合する条件の不動産が見つからないことも多いです。

そこで、貸主側が「退去して欲しい」と考えても、借主側が「退去したくない」ということが、よく発生します。


ここで、ある程度の金銭による補償が話し合われますが、進まないことがあります。

そして、「貸主側」が「借主に退去してもらう」ために弁護士に相談しました。

弊社に「建築の専門家の目」で、「解決に力を貸して欲しい」という話でした。

「借主」が借りた時期によりますが、借地権がある場合は、なかなか法律的には解決が難しいです。


そこで、いわゆる法律ではなく、「建物の機能」から「退去していただき、新築するべき理由」を構築する方向になりました。

まずは、「建物の構造が脆弱で、非常に危険である」ことを明確に立証し、「リノベーションで構造の脆弱性を改善することはできるが、店舗の機能と不適合する」ことを意見書にまとめました。

これだけでは、よく論じられることなので、裁判には少し弱いと考えました。


そこで、古い建物がもたらす可能性がある「問題点」を具体的に検証しました。

その結果、既存建物が「周辺建物の避難経路に危険を及ぼす可能性」を立証しました。

「古い建物の構造的安全性」の影響は、その建物の住人・関係者に限定されます。

対して「周辺の建物に及ぼす悪影響」は、影響が「その建物の関係者」にとどまらず、広がる可能性があります。

この視点から意見書をまとめ、無事「貸主側が借主側に退去いただく」ことになりました。


立ち退き・退去などのトラブル・紛争の際は、弁護士が考えられる法令以外に、建築基準法などを参照して裁判官を説得することも有効です。

そのためには、経験豊富な一級建築士に相談すると良いと考えます。

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