建築裁判を一気に有利に進めるポイント〜「強い訴求力を持つ」調査報告書に対抗する「強い反撃力を持つ」経験豊富や一級建築士による意見書〜|東京の建築設計

query_builder 2020/10/15
コンサルティング
YDS建築研究所

裁判においては 、裁判官は「書面」を最重視します。

一般の感覚から考えると「非常に書類ベース」で進行し、見方によっては「書面のみ」で裁判は進行します。

裁判となった場合、原告・被告双方の弁護士が代理人となって、裁判が開催されます。

裁判を司り、判断を「判決」の形で下すのが裁判官の役目ですが、裁判官の方は非常に冷静沈着に進めるのが常です。


裁判の現場で、双方の代理人の弁護士は多くは話しません。

事前に提出された書面・書証をもとに、裁判官が主導して

「原告の書面の〜の部分に関して・・・・」

と話すと、原告代理人は

「その点は、こちらに記載してあります・・・・で」

と「弁護士は答える」立場です。

弁護士のタイプや裁判官の姿勢にもよりますが、「裁判の場で弁護士が論を大いに論じる」ことはほとんどありません。

この「裁判の現場」での「書面中心主義」は、建築設計・工事の現場にいる立場からすると、かなり違和感があります。

図面や書面では不明瞭だった点が、現場で

「ここは、こういう風なコンセプトで、〜という感じで納めて欲しい」

と現場監督に伝えると、

「なるほど。そういうことですか!」となります。

現場だからこそ、また「現場でしかできないこと」を現場で相談するのが、建築設計の現場です。

対して、「裁判の現場」では、建築に関わる人間からみると「弁護士は不在でも同じではないか」と感じるほど「書類ベース」です。

極論すれば「書面に記載ないことは、日程の調整など、その場の議題以外は言ってはならない」雰囲気もあります。


建築紛争・訴訟に関する具体的な話です。

訴状などの書面を拝見して、いつも感じることがあります。

それは、訴状においては「非常に具体的」内容が主張さることです。

対して、その後の議論が「非常に抽象的」であることです。

訴状が具体的であることは、一面当然なことでしょう。

原告側は「明確な理由」をもとに「明確な損害賠償額」を要求します。

対して、被告側の代理人の議論は、建築設計・工事の流れにしても、建築基準法などの諸法規や一級建築士の役割や権限にしても、非常に抽象的で具体性に欠ける論が展開されます。

この理由は、文章を作成している弁護士の方々が建築設計・工事の現場を全くご存じないからでしょう。

建築に関する諸法規などに関しても「法律の内容ははっきり分かる」ものの「具体的運用は全く分からない」弁護士の方が作成しています。

弁護士の方々は、多数の文献やネット等で調べたことを羅列して、論を展開します。 

つまり、「初めて知り得た法規・情報などが羅列される」と、どうしても一般的で抽象的な内容になる傾向があります。

例えば、「建築工事に関する瑕疵」に対する反論。では、建築士法などから「一級建築士の責務」や「業務範囲」を主張して反論していることも見かけます。


法律の世界で活動していらっしゃる弁護士の方々が「法律を最重視する」姿勢は、当然であるかも知れません。

実は、建築士の実務においては、建築士法や建設業法等はほとんど関わりません。

建築基準法は、「基準」であるだけに、建築に関する全ての人間にとって大事です。

ところが、建築士法や建設業法は、法律が存在することは知っていますが、実務上は「話題にすらならない」です。

そのため、「工事の瑕疵」など非常にリアルで現実的な内容に対して、「建築士法に条項」や「一級建築士の責務」を並び立てても、現実感がなく、あまり意味がないのです。  

実務の現場で「ほとんど話題にならない」ことを、「実務の現場での話」に準用すること自体に無理があります。


訴状の最も依拠する点が「瑕疵」なのか「設計ミス」等なのかにもよりますが、瑕疵や設計ミスは非常にリアルです。

「瑕疵」を写真などで提示されると、大抵の方は「なるほど」と思います。

「百聞は一見にしかず」という言葉もある通り、「一見」は非常に大きな力を持ちます。

「問題である瑕疵の写真」は、原告が主張する通りの「問題を含む内容」が非常にありありと映し出されています。

 その「強い説得力」によって、裁判官は納得して原告の主張を是とする傾向もあります。


そして、膨大な調査写真をまとめて、諸法規や工法の問題を並び立てている「建築調査報告書」は非常に大きな力を持ちます。

「問題がある写真」が多数掲載されており、大抵の場合において、A4の紙に2枚ほどがレイアウトされ、コメントが付されています。

比較的大きな写真が、コメントと共に並ぶと、非常に強い説得力を持ちます。

ところが、この「調査報告書に記載された内容」は、必ずしも正しいことばかりではないこともまた事実です。

中には、作成している一級建築士の方が誤解・誤認している内容があることも見受けられます。

このように「非常に分かりやすい写真を多数掲載した、強い訴求力を持つ」調査報告書が相手方から出された場合は、弁護士の方のみで反論を展開することは不可能です。

原告・被告いずれの立場においても、「現場をよく知っているプロ」である一級建築士にしっかり依頼して、詳細にチェックしてもらいましょう。

早期にプロの一級建築士に相談して、しっかりとコンサルティングを受けることが大事でしょう。

そして、「強い訴求力を持つ」調査報告書に対しては、文章ばかりではなくヴィジュアルでも分かりやすい「強い訴求力を持つ」意見書を作成して、裁判官に理解してもらうことが大事です。

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