プロの意見をもとに裁判を有利にするポイント〜実務経験豊富な一級建築士の意見書〜|東京の建築設計

query_builder 2020/06/15
コンサルティング
YDS建築研究所

裁判は、一般の感覚から考えると「非常に書類ベース」で進行します。

そして、裁判官は「書面」を最重視します。

裁判となった場合、原告・被告双方の弁護士が代理人となって、全ての裁判を進行します。

裁判を司り、判断を「判決」の形で下すのが裁判官の役目です。

裁判の現場で、双方の代理人の弁護士は多くは話しません。

事前に提出された書面・書証をもとに、裁判官が主導して「弁護士は答える」立場です。

弁護士のタイプや裁判官の姿勢にもよりますが、「裁判の場で弁護士が論を大いに論じる」ことはほとんどありません。


今回は建築紛争・訴訟に関する話です。

「建築裁判のコンサルティング」をする際、多くの場合において訴訟となって半年程度経過したのちに、代理人の弁護士の方から相談を受けます。

訴状などの書面を一通り拝見して、いつも感じることがあります。

それは、訴状においては「非常に具体的」な内容が主張されていることです。

それに対して、その後の議論が「非常に抽象的」であることです。

訴状が具体的であることは、一面当然なことであるかも知れません。

裁判となると被告も大変ですが、そもそも「訴訟を提起する側」である原告側の緊張感もかなりのものであると考えます。

多額の費用をかけて、自ら精神的苦痛を伴う訴訟を選ぶ方々には、それぞれの方々の「言い分」が強くあります。


そして、原告側は「明確な理由」をもとに「明確な損害賠償額」を要求します。

その後の議論は、建築設計・工事の流れにしても、建築基準法などの諸法規や一級建築士の役割や権限にしても、非常に抽象的で具体性に欠ける論が展開されます。

この理由は、文章を作成している弁護士の方々が建築設計・工事の現場を全くご存じないからです。

そして、諸法規などに関しても「法律の内容ははっきり分かる」ものの「具体的運用は全く分からない」弁護士の方が作成しているので仕方のないことだと思います。

弁護士の方々は、多数の文献やネット等で調べたことを羅列して、論を展開します。 

その「論を展開」する内容が、どうしても一般的で抽象的な内容になる傾向があります。


例えば、「建築工事に関する瑕疵」という、非常に具体的な内容が訴状が記載されているのに対する反論を例に挙げます。

建築士法などから「一級建築士の責務」や「業務範囲」を主張して反論していることも見かけます。

法律の世界で活動していらっしゃる弁護士の方々が「法律を最重視する」姿勢は、よく分かります。

一方で、建築士の実務においては、建築士法や建設業法等はほとんど関わりません。

建築基準法の運用は、建築確認申請業務などで非常に密接に関わります。


建築士法や建設業法は、法律が存在することは知っていますが、実務上は「話題にすらならない」です。

そのため、「工事の瑕疵」など非常にリアルで現実的な内容に対して、「建築士法に条項」や「一級建築士の責務」を並び立てても、あまり意味がないのです。

 訴状の最も依拠する点が「瑕疵」なのか「設計ミス」等なのかにもよりますが、瑕疵や設計ミスは非常にリアリティがあります。

写真などで提示されると、大抵の方は「なるほど」と納得するでしょう。

この点においては、多数の裁判の種類の中でも、建築紛争・訴訟の内容は「非常に分かりやすい」部類に入ります。

日頃接している建物や建築に関して、「なんらかのトラブル」が写真等で示されると「説得力を持つ」のです。

その「強い説得力」によって、裁判官は納得して原告の主張を是とする傾向もあります。


写真等を活用して、建築実務の現場を踏まえた「強い説得力を持つ」論を、原告は用意する必要があります。

写真等を活用した「強い説得力を持つ」論に対して、被告は反論する必要があります。

それには、原告・被告いずれの立場においても、「現場をよく知っているプロ」である一級建築士に早期に相談して、しっかりとコンサルティングを受けることが大事でしょう。

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