「卵のモチーフ」と波打つガラスの壁面が楽しい福井県立恐竜博物館|恐竜博物館・建築と旅2

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子ども日本紀行
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「恐竜の卵」という明確すぎるデザインの福井県立恐竜博物館。

2000年7月に開館した博物館の建築は、黒川紀章氏の設計です。

建築の設計において、「何かのイメージを造形に盛り込む」考え方があります。

例えば、教会建築において「十字架のデザインを建築デザインに入れる」ことがあります。

そのように、何か関連するイメージをデザインに盛り込む発想は「分かりやすい」です。

一方で、この「デザインをアイコン等として入れる」発想には是非があり、様々な建築家の意見があります。


かねてから、この「恐竜の卵」をモチーフとしたデザインに対しては、

「『恐竜の卵の建築デザイン』は
少し分かりやす過ぎるのでは・・・」

と感じていましたが、実際に訪れてみると、

「あっ!
あの卵の博物館だ!

と、建築に詳しくない素人である子どもでも「恐竜博物館であること」が分かります。

そして、「恐竜の卵のモチーフ」は意外と良いな、と思いました。

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リニューアルオープンに向けて付加された「小卵」と、元からある「大卵」が対になったデザイン。

元の設計の時から、この「小卵の増築」の構想があったのかどうかは不明ですが、

「卵が二つの対になって、
安定感があって、とても良い。」

と感じ、特に「子ども向けの建築デザイン」としては秀逸と考えます。

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この恐竜博物館は、博物館の上に上がることが出来ます。

「ちょっと
上に上がってみよう!」

と、子どもを誘うと、

「ちょっと暑いけど、
行ってみる!」

このように「建物の上に上がれる」のは、とても楽しいことです。

博物館の建物の端の方が緑化されていて、そこからスロープを歩いて登ることができます。

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登ってみると、屋根も緑化されていて、気持ちの良い空間です。

この緑化は、恐竜博物館を訪れる方々の「憩いの場」を想定しています。

そして、夏場などは適度な水分があることが、建物全体の断熱になります。

メンテナンスは大変ですが、きれいに整備されていました。


この日は夏真っ盛りで、かなり暑かったので周囲にほとんど人はいませんでした。

「さっきいたのは、
この卵の中なの?」

「そうだよ。
この卵の中で恐竜を見ていたんだよ。」

子どもは少し不思議そうです。

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少し歩いてみると、黒川氏が好きだった円錐形のモチーフが見受けられました。

「なんか、
変わった形だね・・・」

円錐形のトップライトなどを、様々な建築デザインに多用してきた黒川紀章。

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姫路市中央保険センターでも、円錐形をデザインした黒川氏。

円錐形は「尖っている」ので、デザインとしては少し強過ぎるように感じることもあります。

恐竜の卵のデザインと合っているようにも感じました。

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この屋根にあった円錐形のトップライトの下が、メインエントランスです。

福井県は雪国なので、冬はかなりの雪が積もる地域です。

そのため、トップライトのメンテナンスとしても円錐形は良い面が多いと思います。

そして、円錐形のトップライトは自然の光を内部空間に引き込むので、とても心地よい自然の光を感じられます。

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この自然の光を浴びながら、メインエントランスからエスカレーターで降りてゆく構成になっています。

建物の上に登ったので、この建築のデザインの全容がよく分かりました。

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せっかくなので、建物の周囲を散歩してみると、

「あそこの壁が
少し波打っているでしょ。」

「本当だ・・・
海の波みたいだね・・・」

この「波打つ壁面」のデザインも黒川氏が好きなモチーフです。

この部分はメインのエントランスから裏手にあり、職員の方々の駐車場になっています。

そのため、来館者・観光客の方々は、ほとんどいませんでしたが、恐竜博物館の建築デザインを楽しむにはオススメです。

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巨大な卵型ドームの内部展示が、とても面白い福井県立恐竜博物館。

博物館の建築も、一般の方から見ても楽しめます。

訪問の際は、ぜひ建物の上や裏側なども見てみて下さい。

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株式会社YDS建築研究所

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TEL:03-6272-5572


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