楽しい二つの卵型ドームの福井県立恐竜博物館|恐竜博物館・建築と旅1

query_builder 2024/06/03
子ども日本紀行
Fukui_DinoM103m

昨年2023年7月にリニューアルオープンを迎えた福井県立恐竜博物館。

2000年7月に開館した、この建物は黒川紀章氏の設計です。

この「恐竜の卵」をイメージした造形は非常に分かりやすく、学生時代に知った時は、

「「恐竜の卵の建築デザイン」は
少し大味なのでは・・・」

と感じたのが事実でした。

デザインのモチーフとして、「分かりやすい造形」を選択する傾向があった黒川氏。

FukuokaB107m

個人的には、黒川紀章氏の建築はとても好きです。

福岡銀行本店はコンセプトが明快で、「銀行」という建築にも関わらず、大きな試みがなされています。

「銀行」に「銀行にようのない方も憩える広場」をデザインした黒川紀章。

そのデザインコンセプトを生み出す力は卓越していました。

Fukui_DinoM114ms

子どもがとても恐竜が好きで、この恐竜博物館のことを何かの本で知り、

「この恐竜博物館に
行ってみたい!」

と、ずっと言っていました。

そこで、リニューアルオープンを機に、子どもと一緒に訪問しました。

開館からちょうど23年後に「大きな卵型ドーム」に「小さな卵型ドーム」を付け加えたデザインです。

この「類似のデザインを付加する」発想は、まさしく、黒川紀章のメタボリズムの発想です。

Fukui_DinoM407m

かつては「分かりやすすぎるのでは」と思った「恐竜の卵型ドームのデザイン」ですが、車で近づくと、

「あっ!
あの卵の博物館だ!」

と子どもは「卵型ドームの建築」に気付きました。

少し小高い山の中にある福井県立恐竜博物館は、この卵型ドームが勝山市内の道路からよく見えます。

この「子どもでも分かるイメージ・アイコン」という意味では、とても良いと思いました。

運転していたのは僕ですが、僕も遠くに「卵型ドーム」を見て、

「恐竜博物館と勝山市の
シンボルとして、とても良いデザインだな。」

と思いました。 この「卵型ドーム」のアイデアは建築デザインとして、とても良いと思いました。

こういうことに気づくのは「実際に見に行く事」の醍醐味です。

この点では学生時代の考えとは大きく変わり、「卵型ドーム」に好感を持ちました。

Fukui_DinoM239m

早速、子どもと一緒にエントランスを入ると、巨大な吹き抜け空間をエスカレーターで下がります。

まさに「恐竜の世界」に入ってゆくイメージです。

トップライトは、黒川氏がよく使う円錐形のデザインで、丸い穴から自然光が降り注ぎます。

Fukui_DinoM247m

途中に様々な展示があり、進んでゆくと「大卵型ドーム」の中に入りました。

「あっ!
たくさん恐竜がいる!」

科学博物館などでも恐竜の展覧会を見てきましたが、

「こんなにたくさんの
恐竜は、初めてだよ!」

子どもは大興奮です。

「恐竜の卵型ドーム」の外観も良いですが、「卵型ドーム」の内観は巨大な卵の中にいる気持ちです。

Fukui_DinoM249ms

他に多くの恐竜の骨格などに出会える博物館はありますが、数だけでなく展示空間も大事です。

この福井県立恐竜博物館の唯一無二の「巨大な卵型ドーム」の展示空間は圧巻です。

「恐竜の世界」にいる気持ちが、子どもにも大人にも心地よいです。

Fukui_DinoM286m

とにかく恐竜、恐竜の展示が続き、子どもたちは、

「とても
広い博物館だね!」

と大興奮です。

展示空間の広さでは、上野の科学博物館の方が広いですが、「恐竜の世界」が具現化した
ような展示空間は、とても良いです。

Fukui_DinoM309m

新たに付け加えられた「小卵型ドーム」の内部空間も、「卵らしさ」が際立っています。

増築された「小卵型ドーム」は展示空間と共に、収蔵庫となる部分が多いです。

Fukui_DinoM334m

道路から見える「大卵型ドーム」は、「卵の存在」が非常に際立っています。

周辺では化石発掘体験などもでき、建物だけでなく博物館の敷地全体が「恐竜の世界」です。

展示された多数の恐竜の骨格たちだけでなく、「恐竜の世界」を満喫できる博物館。

それは、まさにこの福井県立恐竜博物館だけだと思います。


「恐竜のことが
色々と分かるね!」

子どもたちの「学びへの意欲」を大いに刺激する展示空間である「ただ一つ」の大空間を持つ素晴らしい建築です。

リニューアルオープンして、さらに楽しみが増えた福井県立恐竜博物館を訪問してください。

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株式会社YDS建築研究所

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TEL:03-6272-5572


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