クリニック増築設計・計画:設計プロセス 8〜建主の強い思いを形に〜|東京の建築設計

query_builder 2024/10/07
施設設計プロセス
YDS

建築指導課の地域担当の方との協議が始まりました。

「今回、既存計画地に軽油発電機と

それを覆う建築の計画をしています。」

「その計画は、 どのエリアですか?」

「設備機器の周辺を 金属製の壁を覆いたいと思います。」


こう説明すると、担当者の方は、

「設備機器の周辺に 壁を建てるのですね・・・

屋根は付けるのですか?」

「屋根はつけず、 防火のための壁面のみです。」


このように「壁面だけを設置する計画」であることを説明しました。

すると、

「屋根がなく、壁だけならば、

建築面積に該当しないので・・・

屋根がないならば、 増築扱いにはなりませんね。

ただし、少しでも屋根を掛け、

建築面積が生じるときは、申請が必要です。」

YDS

こうして、「建築確認申請不要」であることを確認しました。

そして、少しでも屋根と見なされるものをつくらず、法令を守るように計画しました。


「建築」の基準(建築基準法)

・屋根があれば、「建築」となる

・柱や梁などの構造のみ、または壁面のみで屋根がなければ「建築」には該当しない(要検討)


建築基準法上、「建築かどうか」は「屋根が重要」です。

木造建築の柱・梁のみであれば「建築に該当しない」可能性があります。

YDS

木造建築の柱・梁のみであれば「建築に該当しない」可能性があります。

このように「軸組が完成していれば建築・建物である」と見なされる可能性がありますが、建築基準法上は、屋根がなければ「建築面積が発生しない」という解釈になります。

YDS

一方で、屋根がかかれば「その瞬間に建築行為」に該当します。

上の写真の通り、「軸組だけならば建築にはならない」可能性があります、「壁がなくても屋根をつくったら建築となる」のが「建築」の解釈です。


「屋根があるかないか」が「建築であるかないか」となるため、「ちょっとした屋根」も重要です。 例えば、ゴミ置き場に「ちょっとした屋根」を掛けた場合、掛け方では問題ありませんが、屋根の掛け方・形によっては、「建築」に該当する可能性があります。

Sky-tree136m

そのため、「ちょっとした屋根をつける」のは、建築行為となり建築基準法違反の可能性があります。

同じような可能性は、駐車場や駐輪場の屋根です。

これらの屋根は新築時ではなく、ある程度時間が経過した後で設置することがありますが、駐車場等の屋根の掛け方によっては、「建築」に該当する可能性があります。

そのため「屋根をつくる」際には、建蔽率・容積率など建築基準法との適合性が重要です。

YDS

こうして、慎重な協議の上、建築基準法・消防法と完全に適合する建築が完成しました。

「やっと、敷地内に
軽油発電機を設置できたね!

いやあ、良かった!
時間が掛かったけど、良かったよ!」

建主には大変喜んでいただき、嬉しく思いました。

「喜んで頂き、
私たちも嬉しく思います。」

こう建主にお伝えして、業務を完了しました。

YDS

ほんの小さな「10m2程度の建築」でしたが、非常に大きな手間がかかりました。

この手間がかかった大きな理由は、「全ての法律への適法性」を大事にしたからです。

法律にはグレーゾーンがありますが、私たちは「遵法」を意識しながら、建築をつくってゆきたいと考えています。

そして、こうした「設計者の姿勢」を大事にして、今後も活動を続けたいと思っています。

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株式会社YDS建築研究所

東京都千代田区神田三崎町2-20-7 水道橋西口会館6F

TEL:03-6272-5572


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