クリニック増築設計・計画:設計プロセス 6〜建主の「建築への思い」を具体的設計案へ〜|東京の建築設計

query_builder 2024/09/25
施設設計プロセス
YDS

クリニックを経営する「大地震などの非常時に患者を守りたい」という意志の強い思い。

メーカー制作の軽油発電機を「設置するだけ」ですが、少量危険物貯蔵庫となるので、消防署との協議が重要です。

今回設置する予定の発電機のサイズは、それほど大型のものではありませんでした。

そして、発電機は重量が重いですが「移動可能」です。

「移動可能」であるため、「建築の対象となるかどうか」も考え方によるかもしれません。

今回は、「移動可能」であっても「据え付ける」ため、「建築に該当する」と判断されました。

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建築確認の増築・改築・移転申請不要の基準(建築基準法 第6条)

・防火地域及び準防火地域外

・床面積の合計が十平方メートル以内であるとき


さらに、防火地域内における「増築」にあたる可能性があるため、慎重に設計を進めてゆきました。

本来であれば、設計が先で「指定確認検査機関や消防署との協議は後」となります。

今回は「敷地内に発電機を設置する」計画のため、設計案より「既存の状況への建築」が問題です。

軽油という危険物を伴うことから、今回はまず消防署との協議を進めました。

基本的に、消防署は「危険物設置」に対しては非常に審査が厳しい視線になります。

これは、「消防活動の最前線」に立つ消防隊員の方から見れば、

「軽油等の危険物から
発火して火事になる可能性がある・・・

火事の原因になりかねない
事象には、当然厳しくなる・・・」

少量であっても「危険物設置」に対して、厳しい姿勢になるのは当然のことです。

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クリニックを経営する医師は「非常時に電気が失われた際に、患者たちを守る」ことを考えていました。

消防署の予防課へ向かい、協議を開始しました。

「非常時への対応のため、
軽油発電機を設置したいと考えます。」


当初、消防署の方の対応は、

「このような軽油発電機の
設置は認め難い。

新築での計画ならば、
まだ良いが・・・

既存の建物・敷地に「後から設置」となると
全然話が違う!」

確かに「新築の際」には、「まっさらな状況での計画」なので、様々なことが詳細に議論できます。 一方で、既存の建物、しかも「少し古い建物」の場合、新築時と状況が異なっていることが多いです。

そのため、「状況を完全に把握」することは、「極めて詳細な調査」をしない限り難しいです。

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市街地のある程度の規模の建物に「何か建築行為をする」のは、基本的に「増築」という扱いになり、元の建物と一体化して扱われます。

「やはり、この
発電機設置計画は認められないな・・・」

「万が一の際の危険」を重視する消防署は、この計画に対して、「許可を下ろせない」という姿勢を明確にしました。

そこで、なんとか状況を打破したいと思い、こちらから提案をしました。

「発電機を『不燃の壁面で囲う』
などの計画ではいかがですか?」

こう提案したら、

「スチールやアルミなどで
壁面を作る計画か・・・」

消防署担当者の方は、少し考えてくれました。

「・・・・・

ちょっと、上司と
相談してくるから、お待ちください・・・」

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どうやら、少し可能性が見えてきました。

少し待っていると、

「計画次第では、
『発電機を不燃材で囲う』で認めましょう。」

状況を打破できる見通しが出来てきました。

まだ「許可する」ではなく「計画次第」なので、綿密な設計・計画が必要です。

「それでは『不燃材で囲う』計画の
検討を進めて、また協議に来ます。」

これで、「計画実施への大事な一歩」が踏み出せました。

「壁で囲う」というのはシンプルですが、発想転換によって法令をクリアする道が開けました。

次に、増築に関する審査を建築指導(審査)課と協議します。

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