既存不適格建築物・法令違反建築物のリノベーション・増築への姿勢〜設計・ポイント・建築確認申請・建築基準法〜|東京の建築設計
東京の街・都市(YDS建築研究所)
数多くの建築物が立ち並ぶ東京の街・都市。
景観に秩序がある欧州の街・都市と比較すると、「景観に統一感がない」と言われます。
あるいは「カオスの様だ」とも呼ばれる東京の都市。
緑が多い皇居周辺の空間。
日本人にとって精神的故郷でもあるこの空間は、非常に洗練された印象があります。
この「雑然とした」とも言える東京の街を作り出している、一つ一つの大小様々な建築物。
環境配慮と「秩序ある街並」を生み出すためにも、既存建物のリノベーションへの視線は大事です。
私たちも、既存建物のリノベーション・増築を行い、持続化できる建築を目指しています。
東京の街・都市(YDS建築研究所)
戸建住宅でも幼稚園の施設などでも、増築を含むリノベーションの設計をしてきました。
増築をする場合、多くの場合で建築確認申請が必要です。
「増築の申請」というと「増築部分のみの申請」と思われがちですが、「建物全体の申請」となります。
実は建築基準法上、「増築」は「建築の一部」となります。
そして、新築の一部である増築の申請をする場合は、新築同様の建築確認申請が必要です。
大きな建物に「少しだけ増築」する場合でも、計画地が防火地域内の場合、「建築確認申請が必要」となります。
この「既存建物を含めての建築確認申請」は、かなりハードルが高い面があり、高度な技術と法律の理解が必須です。
東京の街・都市(YDS建築研究所)
非常に大変な増築を含む建築確認申請ですが、それ以前に問題がある場合があります。
それは、既存建物が「既存不適格建築物」あるいは「法令違反建築物」の場合です。
既存不適格建築物
・建築が完成した際は法律に適合していたが、その後の法律改正等により、不適合となった建築物
法令違反建築物
・建築基準法に適合していない建築物(高さ、建蔽率、容積率など)
新築時に適法だった建物が、現在「違反」になってしまうことは、やむを得ないことでもあります。
「既存不適格建築物」に対しては、現行法に適合する様に法律をしっかり解釈して、設計することが大事です。
既存建物に手を入れすぎると、多額のコストがかかります。
そこで、コストを調整しながら、上手く適法化させることが大事です。
法令違反建築物は、程度にもよりますが、「建築基準法等法律に適合するように」是正する必要があります。
そのような是正を含めて、増築等の建築確認申請を行います。
そして、申請後の増築・リノベーション工事でしっかり適法化させます。
東京の街・都市(YDS建築研究所)
法令違反していることは、非常に大問題です。
実際には、さらに問題がある建物があり、それは「法律違反建築物」です。
法律違反建築物
・建築基準法に定められた申請を行なっていない建築物
建築をする際には、建築確認申請・中間検査・完了検査を行う義務があります。
ところが、「完了検査を受けなかった」建築物は実はたくさんあります。
完了検査実施率(国土交通省)
上のグラフにある通り、平成10年(1998年)時点では、完了検査を実施した建物は約40%ほどです。
つまり、「半分以上の建築物が完了検査を受けずに完成」したことになります。
その後、国土交通省が「完了検査を受けることを推進」したために、近年「完了検査率」は上昇を続けました。
平成26年(2014年)頃に、ほぼ100%となった完了検査率ですが、その後減少しました。
直近のデータの平成28年(2016年)では、92%程度の建物が完了検査を受けています。
逆に、最近でも「8%程度の建物が完了検査を受けずに完成」している実態があります。
完了検査を受けていない場合、増築の建築確認申請は非常に困難です。
その場合、国交省が定める方法に従い、設計者がきちんとした手続きを踏めば、きちんとした建築確認申請が可能です。
完了検査を受けていない建物、検査済証がない建物の増築等お考えの方は、
建築士に相談して、法令の解釈、申請の可否をしっかり検討依頼しましょう。
東京の街・都市(YDS建築研究所)
私たちは、数多くの設計経験や建築コンサルティングにおける法令解釈に習熟しており、これらの対応が可能です。
検査済証を紛失している場合は、 自治体の建築審査課等で照会可能です。
お持ちの建物・建築の法律・法令適合に対する意識を持つことは、非常に大事だと思います。
「増築」等をお考えでない方も、一度ご確認されると良いでしょう。
株式会社YDS建築研究所
東京都千代田区神田神保町三丁目2番地 高橋ビル4F
TEL:03-6272-5572
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